☆こんにちは、中学校教員レモラズです。身バレ防止のため、脚色を加えていることがあります。気楽に読んでくださいね。☆



ヤンキーなご両親に育てられたナオト。


中学生になり、ヤンキー度に拍車がかかる一方、
学校の勉強も色々難しくなってきて、
どっちつかずな状況。



親が呼び出されて校長室で話をしているのを待つ廊下で、ぽろっとこぼしました。


「あいつら(親)、やんちゃしろって言ったり勉強しろって言ったり、マジでどっちなんだよ」



「なにそれ笑い泣き笑い泣き笑い泣き
自分が大切だと思う方を中心にやるだけでしょ。
ていうか、親が言うからやんちゃするわけ?」


「『俺らもそれぐらいやったから、お前もやっとけ』って言われる。でも、あと勉強だけはやっとけよって言われるからやってる。」


「すっごい期待されてるね」


授業中は「オイ!こっちこい!!」と凄むナオトですが、こうやって1対1でしゃべると、普通に話せます。


先週は、情緒不安定で教室に入れなくて、廊下で座り込んでいました。


心配して近寄る先生たちに
「うっせーあっち行け」
「うざいんだよ」
とキャンキャン吠えまくります。



私ももちろんそばにいくのですが、
「ナオト、気持ちが落ち着かなくて嫌だね。困ってるんだね」

というと、



「あっち行け!生徒指導のサトウを呼んでこい!お前はあっち行け!お前うっとおしい!!!」と追い払われました。


あとで、落ち着いた時に、



「ナオト、自分が落ち着かなくて、誰かに手を出してしまいそうな時、それを物理的に受け止められる人を呼んだね?(サトウ先生は空手の有段者)
カッとした時、目の前の私に手を出さずに済むように、私にあっちに行けって言ったね?考えてくれたんだね?」


と言うと


「おまえ、そうやって鋭く分析するからイヤ(笑)」
と逃げて行きました。



そんなナオト、英語の授業で、ちょっとしたカードを書くことがありました。
バースデーカード、クリスマスカード…何でもいいんですけど。



「日本人って照れ臭くてありがとうとかの気持ちを直接伝える機会が少ないと思う。
お母さんやお友達、普段会えない人とかに、シンプルな言葉でもいいから、感謝を伝えたり、ハッピーバースデーとか、なんか、相手に気持ちを伝えるカードを書いてみよう。
英語でね。」


と話してて。


ナオトは「書く相手いねーよ」と。


「は?いっぱいいるじゃない、いっつも身の回りのことをしてくれるお母さんやお父さんとか、あんたが暴れたら止めてくれるサトウ先生とか、担任のスズキ先生とか、感謝してもしきれないくらい、あなたは支えてもらってるじゃないのよ!」


と言ったのですが。


提出されたカードを見て、衝撃を受けてしまいました。


“Dear Ms. Lemon Rapsberry, 
Thank you very much always. 
We are friends forever.

Naoto”


(レモラズ先生、いつもありがとう。いつまでも友達です。ナオト)




おい、ともだちじゃねーぞ

と心の中で激しくツッコミを入れまして。



でも、かわいいラブ



そのあと、ナオトに


「カードありがとう、とってもうれしかったわ。
でも、私はあなたを友達だと思ったことは一度もないけどね。」


と言ったら
すっごい照れ臭そうにわらって、


「俺にとっては、学校の先生は友達だよ。歳の離れた、話しやすい友達。」


と言い残して去って行きました。


学校の先生を友達と呼ぶ日が来るなんて笑い泣き




職員室では、
このツンツンツンツンデレぶりにみんなで盛り上がり、

手がかかるけど、やっぱりカワイイなぁ
と癒されました。



翌日、
深夜徘徊で警察に声をかけられて、
はぁ…ってなりましたけどね。


でもね、私たちも、ナオトがいつか、完全に学校から離れてしまう日を心配しています。
親がどんなに「勉強しろ」と言ったところで、
やんちゃ仲間と付き合っている以上、
自分で線引きできるほどの意志の強さがなければ、
ズルズルと言ってしまうだろうし、
そもそも
高校進学を考えた時、
ナオトの周りの大人(両親の友達)には、モデルがいない。


それでも、彼の中にある、何かをつかまえて、
学校での学びに引き留めたいと思っています。