☆こんにちは、中学校教員レモラズです。身バレ防止のため、脚色を加えていることがあります。気楽に読んでくださいね。☆
小学校から、「気分の浮き沈みが激しく、気に入らないと暴れたり、学校を飛び出したりする」と申し送りがされてきているマナトくん(仮名)。
小学校の時は、先生との相性が合わなかったらしく、しょっちゅう暴力事件が起きていたそうです。
それは、先生もマナトくんも辛かったですね。
中学に入り、様々な教科で小学校より専門的な話をすることになり、しかも、中学は何もしなければ高校に行けないわけですから、
色々なゴールについて話しします。
こんなことができるようになってほしい、あんなことができるようになってほしい、と。
休校後、私たちは、子供達の観察から始めました。
人間関係を作ることも含めて、小学校からの申し送り通りだなとか、そうでもないな、とか、その辺の見極めをします。
マナトくんは、ものすごく自尊感情が低いようで、すぐになんでも諦めてしまいます。
諦めて、寝てしまいます。
おうちの環境も不安定なので、おうちに協力を求めるのも厳しいです。
彼は、各教科の授業のシステムに慣れるだけでもかなり時間がかかり、プリントを埋めることやノートを書くことも「どこに?」「何を?」をしばらくかかります。
できれば嬉しく、調子に乗ってウキウキ大騒ぎし、
できないとプリントをグチャグチャにして投げ捨てます。
英語は、特に彼にとっては難しかったようです。
文字、発音、授業の進め方。
何もかも、彼の理解よりも難しく、量が多く、速い。
最近、彼はローマ字の仕組みを覚えました。
(授業ではすでにそれは何ヶ月も前にやったもの)
単語テストで「国」を英語で書くことになり、彼はkuni と書きました。
もちろん、バツなのだけど……
「なんで?なんで、kuniはダメなの?
」
こだわり、発動です。
面倒くさいのだけど(本音)、
ここで、彼の理解の仕方を聞いて、
「ああ、そうか」と共感して、
「でも、クニは英語ではないのだよ」とゆっくり説明して、countryを教えます。
「でも、これ、カントリーなんて読めないよ!kantoriでしょ!
」
「そうだね……でも、それは、私もどうにもできないや。」
と、無理なことは無理だと伝え、
「英語なんてボクには無理なんだよ!!
」
とスネるのを
「いやいや、学校が始まった時を思い出してみようよ。できることがこんなに増えてて…」
となだめ、
「やっぱり無理!!アレもコレもソレもできない!
」とゴネるのを
「アレもコレもソレも一気には無理だよ。マナトはゆっくり、少しだけど確実に勉強するタイプの人間だから、一個一個やろう。あなたの英語の力は、絶対伸ばしてあげるから。まずは、授業中、文字を見ながら、音読を頑張ろうね。」
と方向性を示して、
「わかった!!先生、一緒に勉強しようね!!
」
と落ち着けるのを
毎週繰り返しております。
残念ながら、多分、この子が、英語で平均点を取れる日は、中学のうちはやってこないと思います。
でも、前よりはできた、を積み重ねないと、
学習への意欲自体がなくなってしまうのです。
どの教科もそうでしょうけど、
学習内容自体を教え込むことも大事だけど、
自分の学び方や、学びたいという気持ちを育てることが学校の仕事かなと思っています。
マナトくんは書けないけど、
授業中にだいぶ訓練をして、
練習する、と言えばプラクティス、
勉強する、と言えばスタディ、と
単語が出てくるようになりました。
ディスレクシアも入ってるんじゃないかな?
気持ちの不安定さが学習を邪魔してるんじゃないかな?
彼の持つ発達障害が英語学習を邪魔してるんじゃないかな?
と思いますが、
このピンポイントな問題を相談できる専門家がいる場所がなく、個人的な知り合いに相談をかけているだけです。
いつも学習の記録をしているシートに、彼は
「わからない」
「難しい」
「無理」
「できない」
という言葉を書いていましたが、
先日、彼の学習シートには、初めて
「読めた。今日はできたぞ!」
と書いてありました。
初めてポジティブワードが書いてありました。
授業はもちろん彼だけのためのものではないので、
彼の浮き沈みに付き合いながら、
授業を組み立てて行きたいと思います。