☆こんにちは、中学校教員レモラズです。身バレ防止のため、脚色を加えていることがあります。気楽に読んでくださいね。☆




よくトラブルを起こす…いや、トラブルを訴えてくる(男の子の)お母さんがいます。
O太郎くん(仮名)と呼びます。



大抵の場合は次のような事案。


ケース1「息子が、Aくんに、大きな声で『死ね』って言われたそうです。なんなんですか、Aくん。」


ケース2「息子が、B子さんに、『あんたおかしいんじゃないの?』って笑われたそうです。なんで、何もしてないうちの息子が笑われなきゃいけないんですか?」




ケース1で、加害側かもしれないAくんに事情を聞くと、「死ね」どころか、そもそもO太郎くんと一切喋っていない、とのこと。




O太郎くんから聞いていた時間や場所も言うと、
「うーん、その時は……あっ、黒板の前でDくんと遊んでました。あっ、たしかに、その時、Dくんに死ねって言っちゃいました。」



ところが、O太郎くんは、その言葉を、自分に向けられた言葉だと思ったようです。



全く普段から話もしないような間柄なのに。
なぜ急に「死ね」と言われたと思ったのか。




ケース2では、一番前に座っていたO太郎くんが、黒板を消していたB子さんに笑われた、という案件です。




B子さんに事情を聞くと、笑ったことも、「おかしいんじゃないの?」と言ったことも、O太郎くんがそこにいたことすらも覚えていませんでした。




でも、嫌なことは、やった方は忘れていて、やられた方は覚えているものです。
周りで見ていた人がいないか、探ります。



そして、B子さんといつも一緒にいるF子さんに聞いてみることにしました。




「あー、あの時はB子が黒板消してて……えーと、何か話してたなぁ。なんの話してたっけなぁ?………あ、なんか、私、その日、言い間違いが多くて、B子が私に『あんた今日、どっかおかしいんじゃないの?』って笑ったわ。」




位置関係も図を描いてみたら、
黒板を消すB子さん、
黒板の目の前の席がO太郎くん、
O太郎くんの後ろの席がF子さん。



O太郎くんは、
下を向いて本を読んでいて、
B子さんとF子さんの会話が存在してることに気がつかず、
ふと顔を上げた時、
自分の方に向かって「あんたおかしいんじゃないの」とB子さんが笑った瞬間が頭に残り、
「笑われた!!プンプン
と、家で話をしたようです。




これは、もしかすると
「認知力」の問題かもしれません。



こういうことは、自閉的な傾向のある子に見られることがあるそうです。



この場合、面倒だけれど、B子さんやF子さんに手伝ってもらって実演をすると、「ああそういうことだったのか」と納得することが多いようです。



でも、実は、逆にO太郎くんに対して、苦情が出てくることがあります。



O太郎くんは、
消しゴムをちぎったものを、大量に生産して、
忍者が手裏剣を飛ばすように、
机の上から、手のひらで横に飛ばすんだそうです。



横の子が、机の横にかけている袋に、細かくちぎった消しゴムが入ってしまい、
怒ったら、
「横の子が意地悪を言ってくる!僕は、消しゴムのゴミを捨てているだけなのに!!」と
逆ギレされて、
相手の子が担任に訴えてきました。




また、O太郎くんは猪突猛進型で、よく人にぶつかるので、
O太郎くんが近づいてくると、みんな、「おおっ、あぶないな」とよけます。



するとO太郎くんは、
「なんでか知らないけど、僕をみんな、さけるんだよ!」と大暴れ。

周りは「いや、よけないと、あぶないんだもん…」と困ってしまい、


「しかも、ぶつかってきても、O太郎くんは謝ってくれないし、逆に『痛いじゃないか』とこっちが怒られるから、嫌なんです」
と怒りをあらわにする子も。



そして、これをO太郎くんのお母さんが、
「うちの子が悪くないのに」という視点でしか理解してもらえないのがツライ。



ぶつかったことも、
「ぶつかったくらいで、相手の子はなんでそんなに怒るんですか?誰でもぶつかることくらいあるでしょう?」
とか



「消しゴムのカスを飛ばしたのはわざとじゃないんですよね。消しゴムのカスが飛んでしまうことなんて、よくあるじゃないですか。いちいち謝れっていうんですか?」


とか…。
(いやお母さん、カスじゃなくて、明らかに遊んでちぎってた消しゴムなんですけど…しかも、捨てたというより、飛ばしてます、という説明ももう無視)



最近は、O太郎くんが、指を上に唾をのせて、それを左右の指でやりとりしていたというので、
比較的優しいクラスの女子や男子たちも、
微妙な距離を開け始めていて、



そんな話をお母さんにしたら、
「そんなこと、うちの息子はしませんよ。家でしてないんですから!」と話は終了。



お母さんの機嫌がいい時には、
「うちの息子ね、読書が大好きでラブ」と話してくれました。
お母さんはO太郎くんが可愛くて仕方ないようです。
でもね、中学1年生で、かいけつゾロリシリーズばかり読むんです。

これ、対象年齢、小1〜3年……。
他にも好きな本があって、「乗り物図鑑」とか。




小学校で、友達とうまくいかなくて、
お母さんも先生とうまくいかなくて、
中学で転校して新しく始めた学校生活。




最初は周りの子に協力してもらうしかないんだけど、
O太郎くんも、それじゃあ大人になって困るんだよ、ってことを覚えていかなきゃいけない。



でも、お母さんの力はあまり期待できない。



これから、ひとつひとつ、地道にO太郎くんに教えていかなきゃいけません。