チャレンジカップ、昌磨くん、優勝おめでとう。

Great Spritは4T3Tが決まらなかったのが残念で、平昌後、ずっと4T3Tが決まらなくなっているので、他のジャンプ失敗してもこれだけは成功して自信に繋げて欲しいなぁと思ってました。

でも、フリーのDancing on my ownで、冒頭4S決まって良かった。4Sもなかなか回転不足なしに降りることができなくて、苦手意識を持ってしまってたので、これが次回に繋がるといいな。

ジャンプよりも何より、Dancing on my ownの演技に引き込まれました。
今年に入ってから振付師のウィルソンさんを呼んで、ブラッシュアップしたというから、その演技が見れることがすごく楽しみでした。
全日本の時よりもさらに洗練されて美しくなっていて、ジャンプも全て音楽の中に溶け込んでいました。


最近、ランビエールさんのロングインタビュー Stéphane Lambiel: “Do it. Show us your colours!” がInside Skatingのサイトで紹介されていました。

既にいろんな方が、訳してくれたり、まとめてくれたりしてます。

昌磨くんのコーチになった経緯について語られているところで、印象的だったのが、フランス大会での出来事にとても心を痛めていたということ。

その時のスケートを生では見ていない。プロトコルを見たと思うけど、それは見たくなかった‥。スケートは見ていないと思う。その記憶がない。もし、見ていたとしても、その記憶を消し去っていた。

次のロシア大会までの間、昌磨くんが自分のところで練習をしたいとやって来た時、すぐに穏やかな環境で、必要なことをトレーニングできるように心を砕いたと言います。

自分のところにやってきた時、技術や準備に問題があったわけではないことが分かった。
どのように滑るか、ジャンプするかちゃんと分かっていたから、それを変えようとはせず、とにかく心の安定と、やりたいことができる環境を用意して、次の大会に備えたそうです。

次のロシア大会で、昌磨くんの後に自分の生徒のデニス選手が滑るという事態になってしまった時、初めて経験することだったので悩みます。
普段ならデニスくんと準備をしていたところだったけど、キスクラに行くことが必要だと感じたそうです。
フランス大会でのキスクラが悲痛な出来事として頭に残っていたから。
もう、ああいうキスクラはあってはならないと。

紆余曲折があって、ランビエールさんがコーチに決まったけど、今季目標に掲げていた「楽しむ」という気持ちを思い出すことができて、本当に良かったです。

悲壮感が漂っていたフランス大会からすっかり翳りが消えて、ロシア大会からはずっと笑顔だし、きっとランビエールさんは気持ちを前向きに持っていかせることが上手なのだと思います。

世界選手権で今季の2つのプログラムの満足いく演技ができますように。

点数や順位はジャッジが決めるもの。
あの圧倒的な技術力で頂点にいるネイサンでさえ、記録や順位を目標としたり、誰かにライバル心を燃やして戦っているのではなくて、今競技できるこの瞬間を楽しもうという心構えで臨んでいる。

山田コーチが昌磨くんに卒業を促した時、理由として挙げていたのは、もっと強くしてくれるコーチのところに行って金メダルを取って欲しいとかじゃなくて、同じ環境でやっているとどうしても固まってきてしまう、もっと大きくなって欲しいでした。

去年、コーチの元を離れたことは大きな痛みを伴ったけど、新しい環境に身を置いて、表現面でもどんどん成長しているのがわかります。


インタビューを読み進めるうちに、ランビエールさんのフィギュアスケートについての考えに共感する部分がたくさんありました。

このジャンプ偏重の時代にあって、生徒の中には自分のところに来て、どうしてこの繋ぎをやらなくてはいけないのか、もしジャンプがなければ、この繋ぎをやったって得られない、自分が必要なのは‥と訴えるようなことがあるという。
その考え方が、理にかなっていると理解しながらも、もし、その板挟みの中で、質を落としてしまうなら、最終的に進歩しないと言います。

シーズン最初の頃はプログラムをこなすのが難しいはず。それは挑戦であるに違いない。自分のものになるまで、簡単だと思えるようになるまで取り組んでいく必要がある。
既に容易にこなせるようなプログラムでシーズンを開始するなら、進歩はない。

まさに、今シーズン、昌磨くんが取り組んできたことだと思いました。
ジャンプの成功や点数だけじゃなくて、新しいことに取り組んで、自分の表現の幅を広げていく。自分はそういう選手を応援したくなる。

ランビエールさんは女子の選手も受け持っていますが、女子の4回転時代について意見を求められた時、勝つ為には4回転や3Aが入ったプログラムが必要になっていることをコーチとして当然理解しているとしながらも、自分の見解をこう語っています。

最終的に、スケートから、競技から望むものは何だろう?

自分は演技を生で観に行きたいと思う ー それから心の中に強いイメージを残したまま家に帰る。ある感情を持っている。そして、この感情がもう一度その演技を観たいと自分に思わせる。

僕は繰り返し、繰り返し、繰り返し、その演技を見る。飽きることはない。分かる?

自分はこんな風にフィギュアスケートに生きている。

それから、僕は彼女の大ファンだけから名前をあげよう。2019年の埼玉で行われた世界選手権で宮原知子の演技を見た。
それまでもたくさんの競技会で彼女を見てきたけど、埼玉でも同じようにその演技を見た。ー 彼女の演技の間、その激しさ、献身的な情熱を感じることができた。

これが僕が家に帰って繰り返し見たいというものなんだ。

繰り返し見たいし、こういうプログラムを探している ー こういう類のプログラムで満たされたい。

そう、彼女は技術的に最も強い選手というわけではないけど、自分が共に生きたいと思う何かを与えてくれる。

プログラムを見ていてもジャンプ以外は早送りしてしまう演技があるといい、そのようなプログラムに興味があるかと問う。
技術、曲の解釈、音楽性、演技、全てが同じレベルにあること、バランスが必要だと言う。

私も宮原さんの演技は、特別に心を揺さぶられる何かを持っていると思います。
高難度ジャンプを何本成功させるとか、スポーツとしては面白いけど、後で繰り返し見たい演技かというと、そう思わないものもある。
もし、宮原さんみたいな演技をする選手がいなくなり、ジャンプの回転数を争う競技になってしまったら、多分、自分はフィギュアスケートに対する関心も薄れていくかもしれない。

今回の昌磨くんのDancing on my ownも間違いなく何度も見たくなる演技です。
動画だけじゃなくて、テレビの大きな画面で見たいけど、そのうちどこか放送してくれないかな。

踊りが上手い選手、繋ぎが巧みな選手、それぞれ選手には持ち味があるけど、自分が昌磨くん独自のものだと思うのは、演技がとてもエモーショナルで引き込まれていくこと。
それは昌磨くんにしか出せない色だと思う。