GPSフランス大会8位に終わった昌磨くんがフリーから一夜明けた後にインタビューで言った言葉。

昨季を含めて一番気持ちがさわやか。ずっと結果を出さなきゃと思っていた。そういう感情が少しなくなった。

シニアに上がってから1年目でGPF表彰台、2年目にワールド銀メダル、3年目にオリンピック銀メダルと順調に昇りつめてきた。
既に全ての大きな大会で銀メダルを持っていて、周囲から期待されるのは頂点の金メダル。
怪我で欠場することもなく、23試合連続表彰台という記録的な安定した成績を出してきたのに、マスコミからはシルバーコレクターと揶揄された。

去年はNHK杯優勝でいち早くファイナル出場を決め、GPFまでは1ヶ月あるという誰よりも有利な状況でした。
練習は十分に積めていて順調だったのに、試合前の練習ではジャンプが決まらなくなり、そこから一気にマイナスの感情に襲われてしまう。試合に行きたくないとまで思う状態で会場に入り、決して調子が良い状態ではなかったネイサンに勝てずに、結果は前年に続き2位に終わる。

足の怪我からプレッシャーに悩む余裕もなかった去年の全日本や四大陸選手権の方が却って良い結果を出すことができていた。

かつて、試合が好き、もっと試合があったらいいのにと思う、と語っていたのに、いつの間にか楽しめなくなっていたという。

去年はメンタルが強い先輩を見習おうと、自分にプレッシャーをかけた状態で勝つと目標を立てた。
でも、それは上手く行かずに、山田コーチが背中を押したのをきっかけに、今までのコーチを離れて環境を変えてみるのを試みた。


コーチが不在になった原因は分かりません。

自分の勝手な憶測だけど‥

新しいコーチが見つかるまでは樋口コーチにお願いしたいと言えば、もちろん面倒を見てくれたんじゃないかな

今季から本田真凜さんの日本滞在時のジャンプコーチになった本田武史さんが、真凜さんのカナダ大会に帯同してたから、頼めば帯同してもらうことは可能だったんじゃないかな
(フランス大会は西日本選手権と重なっていたから無理だけど)

合宿先のランビエールさんだって、頼めば可能なのでは‥

メインコーチじゃない人が帯同している選手も時々見かける。


今季は一人でやっていくと発表した時に、こう言ってました。

もうすぐシーズンに入る中で、急に「大会に帯同してください」と言うのが申し訳ないというか。言われてもどうしたらいいか分からないと思いますし、もっとゆっくり、そこに拠点を置いて練習した上でお願いできたらと思います。


頑固なまでに人に頼らず、自分一人でやって行こうとして、「楽しむ」をテーマに掲げて今シーズンをスタートしたのに、コーチ不在の孤独の中で、楽しむことも出来なくなり、どんどん追いつめられていき、そして壁にぶち当たり。

不器用で経験からしか学べず、ハラハラさせられるけど、でもそれ故に目が離せなくなるスケーターだと思いました。

これまでずっと結果を出さなきゃと追い詰めていた気持ちから、一旦解放されたなら、それはそれで良かったんじゃないかなと思います。


試合後、ネイサンが昌磨くんにコメントした言葉にホロリとしました。

どの選手もスランプに陥ることはあるし、どんな原因であれ、トップ選手にも苦労する時期はやってくる。だから、宇野も必ず答えを見つけて戻ってくると思う。

ネイサンも平昌ではSPで大崩れして、挫折を経験した選手。


オリンピック男子シングルでソチの表彰台に乗って平昌でも残ったのは一人だけ。
絶対王者と言われたパトリック・チャンさんは入賞にも届かず、デニス・テンさんはフリーに進むこともできなかった。

ジュニア時代に期待されたけど、シニアではなかなか結果が出なかった選手、これからいよいよだと思われていたのに伸び悩んで終わってしまった選手、オリンピックでメダルを取った後に結果が出せなくなってしまったり、そしてそのまま引退してしまったり、そんな選手達をたくさん見てきました。

これからどうなって行くかは昌磨くん次第です。

私は伸びるスケーティングと唯一無比の表現が好きで、一年でも長く演技を見ていたいし、そして試合が終わった後、落ち込んだり、悔し涙を流すより、笑顔で終われる演技を一回でも多く見たいと思います。