実は私は、前シーズン、宇野昌磨選手にとても期待してました。

平昌オリンピックで銀メダルを取った後、実力差が出た、自分に足りないのは羽生選手やハビエル選手のように加点がもらえるジャンプ、と言っていました。
メダリスト3人の中で一番難易度の高いジャンプ構成で挑んだにも関わらず、ジャンプのGOEとPCSで上の2人と点差が開きSPでは3位でした。

この決意を聞いて、バンクーバー後コーチを変えジャンプの矯正を始めて、その為に次のシーズンは良い成績が残せなかった真央ちゃんのようになるのも覚悟しよう、と思ってました。

でも、シーズンが始まってみれば、今までよりジャンプがきれいになり、かつ成績も残す宇野選手がいました。
以前はジャンプの回転を止めることができずに着氷して、回り過ぎるのを膝で堪えて、バランスを取るために腕をクルンと回すのが多かったけど、その癖がほとんど見られなくなりました。
前からこのジャンプの癖だけは残念だなぁと思っていて、膝に負担がかからない心配もしてました。
それがコーチや練習拠点を変えることもなく、自分の練習だけでここまで短期間で変われたのはすごいなぁと思いました。
元々、オールランダーで、スケーティングは上手だし、スピンの回転速度は早いし、表現力もある、ここに加点がもらえるきれいなジャンプが加わると無敵だと楽しみになりました。

ロンバルディアに始まり、GPS2戦で優勝。怪我を抱えながらも全日本、四大陸でも優勝と、このまま世界選手権でも良い結果が出るような気がしてました。

ところが2年ぶりの台落ちという結果に終わり、やはり試合になるとジャンプが回り過ぎてしまう、それからGPFの時と同じメンタルの問題と関係しているようで、何か環境を変えることが必要かもと思いました。

でも、昌磨くん自身が一番分かっているのか、試合後すぐに長期での海外合宿の話が出ました。
怪我をしたり、選手生命が短くなるのは切にそうならないように願うけど、今までと環境を変えてみようと思ったことは賛成です。

そして個人的にはスケートの技術面だけでなくて、他にも新しい経験が得られればいいなぁと思っています。

町田樹さんが選手時代、大学を休学してアメリカで練習していた時期があり、GPSで優勝するなど結果も出せたけど、その後GPFや全日本で惨敗しました。
当時はメンタルが弱くてここぞという試合に勝てなくて、落ち込んでいた時に偶然大西コーチに出会って、日本に拠点を戻しました。
自分からスケートを取ったら何も残らないと気付いて、大学に復学し、授業にも真面目に出席するようになり、スケート一辺倒ではなくなったことが、気持ちに余裕を持たせ、良い結果をもたらしたというエピソードがあります。

ネイサン・チェン選手が全米選手権、世界選手権で良い結果を出せたのも、最初は苦戦した大学の勉強との両立がだんだんうまくいくようになり、それが自信に繋がったと聞いています。

もちろん、人って持って生まれたものが違うから、ネイサンみたいにいろんな才能に恵まれ器用に複数のことをこなせる人もいるけど、昌磨くんのように好きなことにしか集中するのが難しい人もいる。
同じようになるのは無理。

体が小さい故に筋力が弱く、子供の頃はジャンプが苦手だったのにここまでこれたのは、スケートにとことん集中できるという資質があったから。
その一方で、スケート一直線で生きてきた故に、大事な試合で自分を追い詰めてしまい、メンタルの問題で本来の実力が出せないのはもどかしくなる。

どんなきっかけでもいいけど、昌磨くんが試合で自分を信じることができるようになるように、何か変化があればいいなぁと思います。