これは架線の霜取りのために、普段は中央本線や篠ノ井線などで活躍している211系が八高線の電化区間を走行している様子である。八高線で普段走っているE231系3000番台か209系3500番台ではなく、わざわざ長野の211系が使われる理由は、八高線の両形式には予備のパンタグラフが存在しないからだ。架線の霜取りを行うには、霜取り用のパンタグラフと、動力源確保のためのパンタグラフの2つが必要である。
この列車は、臨時や回送といった表示を出しても不思議ではないが、前面が普通表示で運転された。これは恐らく、これまでの撮り鉄の行動からついにJR東日本も学習したのだろう。珍しい表示が出ているだけで、無茶をしてでも仕上がりの良い写真に仕上げようとする輩が現れるからだ。
この取り組みは、小田急電鉄が試運転列車を回送表示で走らせたことから始まり、都営地下鉄と相模鉄道もこれに追随した。そして今回、JR東日本でも同様の取り組みが行われた。この取り組みは一定の効果があるように見える。
珍しい表示が出なくなった程度で撮影を止める必要などないはずだが、迷惑行為の常習犯ほど退いている。つまり、撮り鉄の評判を著しく地に落とした輩の鉄道愛なんてその程度なのである。もちろん、そういった偽りの鉄道愛を持つ人間が界隈からいなくなってくれるのは、大半の鉄道マニアにとってはメリットでしかない。他の鉄道各社局もこれに追随すべきである。