JR京葉線、9月に異例のダイヤ変更 各駅停車の一部を快速に (msn.com)

 

今年の3月、京葉線の通勤快速の廃止に加え、日中時間帯を除いた全ての快速が各駅停車に変更となった。これに対し、主に京葉線の直通先である内房線・外房線沿線の自治体が猛反発したことは記憶に新しい。そして、JR東日本は早くもダイヤ見直しを決定した。ダイヤ見直しとしては異例の速さではないだろうか。それと同時に、この決定は長期的に見るとJR東日本を苦しめるのではないかと思った。その理由について説明する。

 

 

 沿線自治体が団結して猛反発すればJRの方針を棄却できる(かもしれない)という前例を生んだ

 

そもそも房総半島というのは、新型コロナウイルス感染症の有無にかかわらず、衰退の一途をたどってきた。その原因については、検索すれば出てくるので、いちいちここで説明する必要はないだろう。そんな中、東京湾アクアラインという強敵の開通や、道路の改良など、鉄道の利用者数が減るような環境となっている。また、JR東日本に限ったことではないが、近年はコロナウイルス感染症の影響で利用者が減ったり、燃料や金属の価格が高騰しており、鉄道の利益率が伸び悩んでいる。利益率が伸び悩み続ければ、利用者の多い路線でもサービスの質が低下したり、現在の路線ネットワークをまともに維持できなくなるおそれがある。そうならないために、JR東日本はコロナ禍以降、ワンマン化や系統分離、みどりの窓口廃止などの積極的なコスト削減を行っている。

通勤快速並びに朝夕の快速の廃止も、コロナ禍以降利用者が少ない京葉線の経営効率を上げるための手段であっただろう。しかし、そのコスト削減政策が今回は沿線自治体の反発によって却下されてしまったのだ。恐ろしいことに、反発したのは1つの自治体のみならず、房総のほぼ全域が団結していた。自治体が団結し、猛反発すればJRの方針を打ち消すことができるという前例が今回生み出されてしまった。これは、今後JR東日本がコスト削減を容易にできなくなる可能性を秘めている。JR東日本は地方においてコスト削減をしなければ、鉄道部門(在来線)の存続が危ういのに、それができなくなるような前例を生み出してしまったことによる代償は決して小さくはないだろう。現に、山手線の本数がコロナ前に戻る兆しがない。池袋~新宿~大崎の区間だけでも何とかしてくれ。

 

 

 

 

 

 快速通過駅の利用者が気の毒だ

各駅停車から快速に変更となる列車が、上下線合わせて4本だけとはいえ、快速通過駅利用者にしてみれば、翻弄されたも同然である。快速通過駅における乗車可能回数が増えることを売りにしていたのに、結局減らされるからだ。鉄道マニアである私でさえも、ダイヤ改正後に自分が使う列車を調べ直したり、覚え直す作業は苦痛である。物議を醸したダイヤ改正から半年でまた面倒な作業をしなければならないのだ。ただ、快速通過駅で減る列車は上下線合わせてわずか4本であるため、首長がブチギレるほどの大きな混乱は生じないと思われる。

 

 遠距離通勤は毒

房総半島の人口は減少しており、現状のような直通列車を今後も維持できるとは思えない。また、遠距離通勤は本人にとってもお勤めの会社にとってもデメリットが大きい。本人は移動時間の長さによって、肉体的・精神的に疲れるし、勤め先の会社はそれだけ高額な定期代を支給するのだ。当たり前だが、電車通勤というのは電車に乗って終わりではない(それじゃあただの乗り鉄)、その先に激務が待ち受けている。長時間電車に乗って疲れた身体に鞭を打つようなものだ。今のうちに近距離通勤に切り替えることを推奨したい。

確かに、遠距離通勤をすれば、自然豊かな場所に住める。だが、自宅から会社までの距離が長い場合は、その分地元に滞在できる時間は少ない。自然の恵みを言うほど享受できていないのではないか。

 

 

 房総特急を新木場に停めよう

蘇我から都内へ早く出たい人は、特急を使うことができるが、京葉線の利用者の多くは新木場駅で乗り換えている。その新木場駅に房総特急は停車しない。結果論だが、新木場駅に特急を停めれば、快速を復活させなくても、少しは沿線自治体の怒りを鎮められたのではないか。