JR東日本、10年ぶりの路線廃止
JR津軽線蟹田~三厩間、廃止が事実上決定。復旧断念、「66区間」で初 (msn.com)
JR津軽線の一部区間の廃止が事実上決定し、今後正式にJR東日本から発表されることとなるだろう。JR東日本の路線廃止は、新幹線開業に伴う並行在来線の三セク移管を除くと、2014年の岩泉線廃線以来となる。
JR津軽線は、2022年の豪雨で被災していたが、JR東日本が自社単独での復旧を渋っており、沿線自治体との協議が続いてきた。唯一廃線を反対していた今別町が、廃線を容認したことにより議論が加速し、昨日の報道のような形となった。
10年前に廃止された岩泉線も今回の津軽線と同様、災害がきっかけであったが10年前と今日では全く状況が異なる。これまでは、災害さえ起こらなければ、JR東日本の路線は赤字でも廃止されないという見方ができたが、今後はそれが通用しなくなると私は考えている。
2022年11月に、JR東日本は赤字区間の収支を公表した。輸送密度2000人未満の66区間の収支が公表され、JR津軽線はそこに含まれている。66区間の中で津軽線が先陣を切って廃線となるが、今後それに追随する区間が相次ぐと思われる。次のトピックでその根拠を示す。
JR東日本の厳しい状況
久留里線 久留里-上総亀山 “バス転換” JR東日本が協議打診へ | NHK
JR吾妻線の赤字区間 長野原町と嬬恋村 今後あり方協議へ|NHK 群馬県のニュース
久留里線と吾妻線は被災している路線ではないが、JR側から廃線を提案されている。東京から比較的近い関東地方の路線でも、そういった状況にあるのに、東北の赤字区間だけは安泰とは到底思えない。
GWの旅客数、コロナ前届かず 円安・物価高で節約意識 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
今年のゴールデンウイークの旅客数は、コロナ前には及ばなかった。コロナ前なら余裕(?)で赤字区間を維持することができただろうが、ゴールデンウイークの旅客数がそれに届いていないということは、赤字区間を維持するための資金が不足しているということを意味している。また、今年のゴールデンウイークの旅客数がコロナ前の水準に届かなかった原因でもあるが、国際情勢によって原油価格が高騰しており、それは当然鉄道の動力コストにも響いてくる。仮にコロナ前と同じ人数を運べたとしても、JRの利益はコロナ前のものよりも低くなる。いまのJR東日本は旅客数減少と原油価格の高騰というダブルパンチによって、鉄道事業の利益率を下げてしまっている。
また、バス運転士不足は度々報道されるが、これからの時代は鉄道でも人手不足が深刻になる。従業員が減ってしまうのに維持する鉄路の量が変わらなければ、将来の鉄道員の負担が増大する一方である。それを防ぐためには、ある程度乱暴に路線を廃止するしかないのである。列車の運転は完全に自動化できるかもしれないが、線路や架線などのメンテナンスはやはり人の手が必要である。
津軽線と同様に、米坂線も被災しているが、米坂線も新潟側は廃止になる可能性が高い。米坂線は山形県内の需要はそこそこあるが、新潟県側はほとんどないからである。
かつての米坂線。現在は只見線で活躍中。
赤字路線の主役、キハ110系。
すぐに復旧した五能線との差は?今後もしばらく残るであろうローカル線の特徴
津軽線が被災したのと同じタイミングで、青森県と秋田県を走るJR五能線も被災したが、五能線はすぐに復旧した。最後のトピックでは、今後も残るローカル線の特徴について述べる。