2024年5月15日、撮り鉄系Youtuberの虫虫探険隊がとある動画をアップロードした。

 

深谷市の公立中学校の生徒が、車内から撮り鉄に中指を立てたり、窓から手を出して通行人にタッチしようとしていた。動画の中で一際目立つ罵声は、ほしかずきというガキ鉄の仕業らしいが、10対0で撮り鉄に非ありとは言えない状況であった。私は虫虫探険隊のチャンネルを長らく見ているが、定期的に登場するほしかずきは、松井大空ほどではないが、何らかの精神障害を持っている可能性がある。通院や介助が必要かもしれない。
 
そして本日、同じく虫虫探険隊のチャンネルにとある動画が公開された。

 

牛久市の公立中学校の生徒が、撮り鉄に中指を立てたそうだ。深谷市立中学校の事件とは異なり、使用された車両は窓が開かないため、危険行為は無かった。もし窓が開く車両だったらどうなっていたのだろうか。

 

修学旅行シーズンが始まって早々、撮り鉄と修学旅行生の間のトラブルが2件も発生してしまった。原因は一体何なのか考察していきたい。

 

 

 バス運転士不足時代の修学旅行

牛久も深谷も、東京から70km程度の場所であり、わざわざ列車を貸し切るよりは、バスで学校まで直接行ける方が良い距離である。にもかかわらず、わざわざ列車を選んだ背景にあるのは、バス運転士不足であろう。今年からバス運転士の拘束時間や残業時間の規制が厳しくなり、今までのように好き勝手にバスを貸し切れるゆとりがない。今回、列車を貸し切ることを決断した現場の先生方は、苦渋の決断だったと思う。今やインターネットをやっていない人でも、テレビやラジオを通じて撮り鉄のマナー悪化を知っている。珍しい列車を走らせることによるトラブルも、教員ならある程度は想定していたはずだ。

 

 

 トラブルを起こす撮り鉄は珍しい列車"だけ"が大好き


今回使用されたのは185系とE657系で、185系は今となっては激レアで、E657系は毎日見ることができる。しかし、E657系も修学旅行生の貸切となれば話は別である。側面に団体表示が出ているだけで、撮り鉄を寄せ集めることができてしまう。その中で、トラブルメーカーとなる撮り鉄は生粋の鉄道好きというよりは、ネタを撮ることによって収益を得たり、インプレッション数やいいね数で承認欲求を満たしている人が多い。過去に中央線の線路内に侵入して列車を止めた撮り鉄も「高く売れる写真が撮りたかった」と供述していた。JR宇都宮駅には収益目的での撮影お断りという紙が掲示されているそうだが、このまま撮り鉄のトラブルが続く場合は、それが全駅に波及することも考えられる。そうなった場合、撮り鉄トラブルは少なくなると思うが、鉄道系のインフルエンサーがいなくなり、鉄道の魅力を発信してくれる人が減るというデメリットもある。

 

別日に撮影した185系

 

 

 SNSから青少年を守れ

SNSというのは、人間の負の部分が発信されることによって成り立っているという側面もある。特に撮り鉄に対するネガティブなコンテンツは非常に多い。迷惑行為を批判するのはわかるが、それを面白おかしくネタにするのは如何なものかと思う。撮り鉄の迷惑行為をネタにすることは、撮り鉄のそれを肯定することと同じで、はっきり言って同罪である。中学生はまだ物事の良し悪しについて完全には自己判断はできないが、そんな中でSNSに飛び交う様々な情報を目にしており、色々と大変な思いをしているだろう。私が中学校を卒業したのは6年前のことだが、当時からSNSに関する指導は定期的に親や学校からされており、当時の私はその意義が分からず渋々使用制限に従っていた。今思うと、私の周りの大人たちは、私に最高の愛情を注いでいてくれていたと思う。そのおかげで、ある程度物事の分別がつくようになってからインターネットでの活動を始めたため、インターネットによって人格が狂うことはなかった。しかし、今の子供たちはどうだろうか。子供を守るべき大人が、インターネットと上手く付き合えていないと判断せざるを得ない場面もよくある。今回撮り鉄に中指を立ててしまった中学生も、適切な指導を受けられず、インターネットの情報を鵜吞みにして育ってしまったかわいそうな人たちではないか。だが、中学生ならまだ救いの余地がある。当該の学校の教職員や保護者・地域の皆様は、これを機に生徒たちに適切な情報教育を行ってほしい。大人になるにつれて、救えなくなってくる。その救いたくても救えなくなった人たちが、日々SNS上で見えない敵と必死に戦っているのだ。これ以上そんな人たちを生み出してはならない。