最近、JR西日本の特急やくも号をお目当てとする撮り鉄に関する嫌なニュースがたくさん飛び込んでくる。自治体までもが動いている状況であり、撮り鉄趣味の持続性に懸念を抱かずにはいられない。しかし、現状のまま過激派撮り鉄を野放しにしておいたら、そのうち列車との衝突事故にも繋がるだろう。何らかの手を打つ必要がある。今回はその方法について考えてみたい。

 

タイトルにも掲げたとおり、この記事は鉄道会社の方(特に企画担当の方)に見て頂きたくて書いている。というのも、撮り鉄対策を講じるのは鉄道会社がメインとなるはずだからである。鉄道会社の方には最低でも、この先のトピックの見出しには目を通して頂きたい。もちろん、鉄道会社にお勤めでない方にも読んで頂けたら嬉しい。それではさっそく本題に入っていこう。

 

 

 対策① 高い安全柵を線路脇に設置

先日、やくも号に関するニュースを見たが、JR西日本は沿線に安全柵を設置するそうだ。我が国の鉄道は、新幹線のセキュリティは物凄くしっかりしているが、在来線においては都市部では当たり前のように大きな安全柵が設置されているものの、少し通勤圏から外れると、安全柵が設置されていなかったり、容易に線路内に侵入できてしまうほど小さいものが設置されている。過激派撮り鉄は、セキュリティが少しでも緩くなったところを狙ってやってくる。昨年の6月に、撮り鉄が栃木県内でカシオペアを止めたことは記憶に新しいだろう。あのときの俺は具合が悪くて寝込んでいたのだが、そんなときに嫌なニュースが追い打ちをかけてきた。あのときの恨みはまだ晴れていない。

 

 

 対策② ホーム先端部に巨大な壁を設置

私もそうだが、撮り鉄はホームの先端部を好む。臨時列車やネタ貨物が走ると撮り鉄はホームの先端部に集結する。単に集結するだけなら良いのだが…

 

このように、転落ギリギリを攻める人間が多いのである。その転落ギリギリの場所に巨大な壁を設置し、どう足掻いてもはみ出し撮影を不可能にしてしまえば良いのだ。

 

 

 対策③ サイレント引退

数々のやくも号事件の発端は、JR西日本が引退を告知したことである。東京メトロ6000系のラストランを機に、鉄道各社は通勤型電車については最終運行日をほとんど告知しなくなった。その効果もあって、JR東日本の205系、東京メトロ03系・7000系は大きなトラブルもなく引退できた。やくも号は特急列車であり、特急列車に新車が入ると、座席数やトイレの大きさなどのスペックが変更となる可能性があり、やむを得ず具体的な引退時期を公表したのだろう。これは仕方ないことだ。通勤型については今後も具体的な引退時期の公表は控えて頂きたい。

 

 

 対策④ 車両の積極的な保存

引退車両の保存は、撮り鉄の迷惑行為によって列車や沿線に不利益が生じることを防げるどころか、やり方によっては撮り鉄と鉄道会社や沿線の双方にとってプラスになる可能性がある。ここで重要となるのが、引退車両の保存について予め鉄道会社が告知しておくことである。「〇〇系は引退後きちんと保存するから、慌てて撮りに来ないでくれ」というメッセージである。編成単位での保存はさすがに厳しいだろうから、残っても先頭の1両だけとなるだろう。先頭1両では物足りないというファンもいるだろうから、引退後中間車がいるうちに、有料の撮影会を催すのも良いだろう。

 

残った先頭1両は、鉄道の博物館に保存されている事例が多いが、私が思うのはそういった博物館にはもう、新たな車両を受け入れるキャパが無いのではないか。そうなると、博物館以外の保存スペースを確保することが必要となる。駅前広場等の改札外に飾られた車両を見に来るために鉄道ファンが交通費を落とし、ついでに地元で飯を食い、名所へ行ってみるという流れになったらもう最高である。

車両の保存にかかる費用は、クラウドファンディングで賄うことが望ましい。クラウドファンディングを活用した車両保存は、東京さつきホスピタルへでの東急8500系の保存、いすみ鉄道キハ28形の保存など、既にいくつか成功例がある。

 

 

いずれの対策もお金と労力を必要とする。撮り鉄全員が当事者意識を持ち、己の行動を改めることができれば話は早いが、過激派の連中にそれは不可能であろう。撮り鉄の存在は、過激派撮り鉄のせいでデメリットしか無いように思いがちだが、良識のある連中を上手く利用すれば、鉄道会社の不定期収入を上げることに役立つはずである。鉄道会社の皆様には、ぜひ私の考えを社内で共有して頂きたい。

 

最後に、私がこれまでに見てきた保存車両を紹介して締める。

 

初代の2階建て新幹線となったE1系である。2階建て新幹線は2代目のE4系を最後に消滅してしまった。正直E4系が保存されなかったことが残念でならない。E1系は私がまだ物心付いていないときにたくさん乗ったらしい。幼い頃はあまり電車に乗っていなかったため、覚えてはいないが貴重な思い出である。この車両は、大宮の鉄道博物館に保存されている。鉄道博物館にはこの他にも様々な車両や、鉄道部品が保存展示されている。さらに、ミニ運転列車やシミュレーターもあり、1日いても飽きない場所となっている。

 

こちらは、熱海駅前に保存されている可愛らしいサイズの機関車である。こういった歴史の深い物は文献を読むだけでなく、実物を見た方が記憶に残ること間違いなしである。

 

JR大森駅の近くにある入新井西公園のSLである。SLが保存されている公園や広場は多いが、今後はぜひSL以外の鉄道車両の保存も積極的に行ってほしい。

入新井西公園の面白いところは、SLのお隣に消防車が保存されている点である。

 

 

ひたちなか海浜鉄道阿字ヶ浦駅にある、ひたちなか開運鐵道神社である。なんと、引退した車両が御神体となっている。これはユニークで面白い。ひたちなか海浜鉄道は今後、ひたち海浜公園への延伸がほぼ確定している。ローカル線でありながら、将来有望である。

 

銚子電鉄の終点、外川駅である。銚子電鉄では、仲ノ町駅に隣接する車庫内にも、かつて活躍した車両が保存されている。果たして2000形も保存してくれるだろうか。

 

しなの鉄道軽井沢駅に保存されているEF63形。かつての碓氷峠越え区間で活躍していた。

 

 

東京メトロ新木場車両基地に保存されている東京メトロ7000系である。東京メトロでは、引退した車両を教材として使う傾向があり、日比谷線の3000系、千代田線5000系等が保存されている。

 

新木場にはラストランにあれだけの騒ぎとなった6000系もいる。何十年も頑張ってきたのに、最後の派手なイベントで荒らされるよりは、あっさりと引退し、保存車両として平穏な毎日を過ごせる方が、鉄道車両にとっても嬉しいのではないだろうか。