はじめに

私は今日も朝食を食べながら、朝の某ニュース番組を見ていた。そこで京葉線のダイヤ改正に関する話題が取り上げられていた。どうやら千葉市長がこのダイヤ改正に対して不平を言ったそうだ。また、利用者からも不満の声が聞こえた。そこで今回は私なりにこのダイヤ改正について考えてみようと思う。ここで断りを入れるが、私は単なるマニアであり、有識者ではない。

 

 

 ダイヤ改正の概要

京葉線のダイヤ改正では、朝と夕方の通勤時間帯の快速・通勤快速が各駅停車に変更される。これによって東京から蘇我までの所要時間が15分ほど長くなる。JR側の目的は、快速に混雑が集中することを避け、混雑を平均化するとのことだ。

 

私はこのJR側の回答は嘘ではないと考えている。というのも快速が各駅停車に降格するのみで、極端な減便が見られないからである。また、快速が各駅停車になるということは、それだけ加減速の回数が増えるということであり、これは動力コストが増えることを意味している。鉄道に限らず地上の乗り物は、加減速時にエネルギーを消費する。これは自転車で考えるとわかりやすい。自転車において一定のスピードで走り続けても疲れないが、さらにスピードを上げようとすると物凄く息が切れる。そして減速時は、ブレーキシューが車輪に押し当てられることによって、運動エネルギーが熱エネルギーと音エネルギーに変換されることで、スピードを落とす。この熱エネルギーと音エネルギーは利用できないため、エネルギーの損失が起こる。

鉄道においても同様である。特に通勤時間帯は加減速時の電力消費が、閑散時間帯よりも大きくなる。運動エネルギーは1/2mv^2という式で表される。mは重量で、vは速度である。通勤時間帯は多くの人が乗車していることから、mの値が閑散時間帯よりも大きくなり、同じ速度であっても電車の運動エネルギーが大きくなるのだ。(体重50kgの人が20人いるだけで1tの重さとなる。ちなみに私は体重45kgである。)当然加速時にはそれだけの力を電車に加える必要があるし、減速時にはそれだけブレーキシューが頑張るのだ。電車の場合は減速時にモーターを発電機として働かせ、エネルギーの一部を利用できるが、それでもブレーキシューによるエネルギーの損失は大きい。

京葉線を走る普通電車は赤い10両編成とオレンジの8両編成が存在する。赤い10両編成のうち209系は4両がモーター車、E233系は6両がモーター車である。オレンジの8両編成は4両がモーター車である。つまり、最近の電車はモーター車の比率が大きくなっっているとはいえ、それでも最低4両はモーター無しの車両であり、それらはブレーキシューの力だけで停車することになる。

ブレーキをかける回数が増えるということは、それだけブレーキシューの交換頻度が増えることになり、これもまた費用がかかる。 また、京葉線の駅間は長く、各駅停車も爆走しているため、摩耗量は多い。

 

 利用者側に求められる対策

所要時間が15分ほど長くなってしまうため、それだけ早く起きなければならなくなるということだ。しかしこれは、所要時間が長くなる分だけ睡眠時間を削れというものではないと思う。早く起きなければならないなら、その分だけ早く寝れば良いのである。確かに残業などで遅くなってしまうこともあるだろう。しかし、残業で疲れて家に帰った後就寝まで何をしているかを注意深く考えてほしい。SNSに支配されていないだろうか。最近電車に乗っていて気になるのは、ほとんどの人が周りには一瞥もくれず、スマホを見ている。電車の中という危険な場所でもSNSに支配されるのだから、当然帰宅してからもSNSに支配されているだろう。その結果、残業なしで定時に帰れたとしても、結果的に睡眠不足に陥っているのではないだろうか。このダイヤ改正を機に、自分の睡眠習慣を見直してみてはどうだろうか。睡眠の質が上がると仕事のパフォーマンスも上がり、結果的に時間外労働時間が減ることも期待できる。

 

会社員の7割以上が睡眠不足 原因は「帰宅時間」「通勤時間」「ながらスマホ」|@人事ONLINE (at-jinji.jp)

 

この記事によると、ベッドでのスマホが睡眠を妨げる原因の第2位となっている。1位は仕事による帰宅の遅さとなっているが、スマホによって睡眠の質が下がり、仕事のパフォーマンスを下げているという見方もできる。私も一時期、趣味のために睡眠時間を削っていた時期があったが、そのときの経験から言わせれば、睡眠を犠牲にして得られるものなどない。趣味でそれなのだから、仕事や勉強に関してはより睡眠が重要となるだろう。


 遠距離通勤が嫌なら…

鉄道マニアである私でさえも遠距離通勤を良くは思っていない。何故なら遠距離通勤者がいればいるほど、鉄道会社の利益が下がるからである。通勤客は単価の安い客であるが、遠距離になると余計に単価が安くなる。そして遠距離通勤客が多くなると、長い編成の列車が走る距離も長くなるため動力コストがかさむ。遠距離通勤というのは鉄道会社にとっても利用者にとってもマイナスである。京葉線の通勤快速の廃止によって不利益を被る人たちはほとんどが遠距離通勤客である。

いっそこの機会に都心部に少しでも近づいたらどうだろうか。東京23区内でも地価や物価の安いエリアはある。また、東京23区内はバスの本数も多いし、お店もたくさんある。遠距離通勤客が現在お住まいの場所よりも良い条件であるはずだ。ちなみに私は物価の安い東京23区内で育った。生まれは千葉県だが…

 

 

 おわりに

新型コロナウイルス感染症の爪痕として、鉄道会社の経営環境は厳しさを増している。輸送サービスを維持するためにはどうしてもコスト削減をせざるを得ず、利用者もある程度はそれを受け入れざるを得ない。それが嫌なら鉄道を公営化すれば良い。民鉄である以上、公共交通機関とはいえ利潤追求せざるを得ない状況になのだから。京葉線に対して千葉市が不平を言っているようだが、それなら京葉線の千葉市内エリアを千葉市営交通とするのはいかがだろうか。蘇我駅において京葉線の発着番線を3・4番線に統一し、中間改札を設置すれば運賃収受上の問題は起こらない。