50代半ば、週末という事もあって仕事帰りに部下を捕まえいきつけの居酒屋へ。




『最近の若いやつは…』なんて言うフレーズに自分の老いを感じてビール四杯分の酔いも冷めてしまった。




部下の最終電車を気にする素振りは
銀幕と呼ばれた時代の映画館の終演アナウンスを思い出させた。



しかし銀幕のそれと大きく違うのは、この場を楽しんでいたのは自分だけだったという事だろう。


機械的な『御馳走様でした』を受け取り改札へ向かう。





いつもと何も変わらない緑色の電車に
乗り込み、鞄の中をいつもと違う景色に変えているそれを取り出す。



表紙に書いてあるタイトルは『みかん絵日記4巻』。



先日嫁いでいった娘が家を出る前夜廃品回収にと出していたものだ。




この4巻にだけは思い入れがあった。


娘がまだ小学生だった頃妻と買い物に行く事が私と行くよりも遥かに多かった。



なので娘からねだられるまで、このマンガの存在自体知らなかったのだが娘が熱を出して学校を休んだのと私の仕事が早く切りあがるのが重なった日があった。




その日具合を伺おうと仕事終わりに電話をした。




そこで熱が下がった報告と同時に受けた注文が『みかん絵日記4巻』を買って帰る事だった。






恥ずかしい話だが、私が特別な日以外に娘に何かをプレゼントするのはこれが初めてだった。



娘はとうに忘れていると思う。
なんと言っても古雑誌と一緒にまとめられていたんだから。
でも当然だと思う。



買って帰った本人である私もその時は特に気にも止めていなかった。



年のせいなのか、昔を思い出しては感傷に浸る事が増えた。



愛着が無いものでも、自分の記憶に残っていると、こうして急に愛しく感じてしまうのだ。



しかし、この年の男がそれなりに人の乗り込んでいる電車の中で子供向けコミックを開いている姿は周りにどううつっているのだろう。



急に人の視線が気になりはじめた。






斜め前、扉横のバーを握りながら私をチラチラと見ているギターを背負った男がいる事に気づく。






そう、ギターを背負った男、それが僕、伊藤です。








電車の中で出会った『みかん絵日記4巻』を読む、ほろ酔いっぽいおじ様に勝手に物語をつけてみました。





あ、急に愛くるしく見えてきた。笑





みかん絵日記懐かしいですよねって言いながら電車酔いで中々の気分です。



おじ様と違って

ほろ酔いちゃうからね。






でも地元に着くまで少し時間があるから更新します。






最近良い音楽に触れる事が多くて幸せです。


22日木曜日は木音色の大阪在住ラストライブでした。




まみ姉は東京に行くみたいです。




大阪で一番好きな女性ボーカルなんで、単純に寂しいです。




でも頑張って東京にも響かせてきてもらいたいです。





たまにアコースティックのライブに行くと、原点回帰しますね。




声にギター。

なんとシンプルな。


メロディーが。



詞が真っ直ぐに届けられる。




曲を書く上で忘れてはいけない事を思い出させてくれます。




次のライブまた少し変われそうです。