東京の東の外れに名バーテンダーが居た。

経緯はさておき、彼が知己となり酒とも親しくなった。

単に酔うための道具としてではなく。

 

その彼が凡そ一年前に退いた。

店は弟子が継いでおり、彼の魂を受け継ぎつつも、ユニークな世界を築こうとしている。

そんな新亭主への手向けに...と、一冊の本を贈ることを約束していたのだが、

古書店に行く機会が持てず、一年越しでようやく目的のモノを手にした。

 

年末年始のドタバタ劇も収束したので、その約束を果たしに行くことが出来たのだが、

とりあえずは酒を味わうところから始めないとなw

まずは金柑入りのジントニック。

季節柄、乾燥しているから柔らかく甘酸っぱいカクテルはスルスルと喉を潤す。

乾きが癒えたところからが本番で、グレンリベット、スプリングバンク、マッカラン...と本格派にKOされたねw

いや、美味かった。

グレンリベットもスプリングバンクも十二分に美味かったけど、オオトリのマッカランには参った。

何時頃に流通したものか、聞いたけど忘れたw

「ラベルが黒基調から赤基調に変わった直後」ということだけは覚えている。

けど、そんな蘊蓄はどうでエエ。異様に美味かった記憶が消えなければ、それでエエ

これは、最早ウィスキーではないね。しかし、コニャックと呼ぶには骨太過ぎるか。

グラスに鼻を寄せたときの匂いは、まさしくコニャック。テセロンみたいだ。

そして、口に流し込んで舌に当たったときのシャープさも、コニャックと見間違えるほど。

しかし、以降はコニャックに期待される軽やかな余韻と幕切れではなくて、鉈でぶった切るような重量感だ。

この裏切りというか、ギャップが心地よいw

結構強かに酔ってるのに、美味い酒が出てくれば論理的な回路が動き出すのが自分でも可笑しい。

 

...というような、攻防戦を楽しんだ後で約束の本を渡す。

今後のサービスの糧になれば幸いだ。

 

そしたら、亭主からの返礼が。

鰻の蒲焼だ。

どうやら日本酒も用意していたらしく、オレの気分が日本酒向きだったら、そのアテに出すつもりだったらしい。

鰻が高い昨今、開店祝いのお返しには不相応なのだが、ありがたく頂く。

これと一緒に飲める日本酒の在庫は既にあるからなw