かり残つてゐて……」
と梅代は、事もなげに言ふ。
「なるほど、時代のついたものばかりでございますな。手前どもでは、実は、あまりかういつた風のものは取扱ひませんのですが……」
「でも、お店の広告に、貴金属宝石美術品とあつたから……」
「いや、全然扱はないわけではございませんが、なにぶんにも、かういつた品は、お好み範囲が限られてをりますんで……」
「だから、無理にとは言ひませんよ。そちらの希望をおつしやつていただければいゝの」
「それが、その、当節は、細工のよしあしと申しますより、材料のつぶし値段が標準になりますもんですから……」
「前おきはそれでわかりましたmillion dollar pips、もし、そちらで引取つていたゞけるなら、いつたいおいくらぐらゐ……」
「これ、全部で?」
「えゝ全部で……」
古本屋が、こちらを振り向き、
「お話中ですが、だいたいのところを申し上げてみたいと思ひますが……」
「えゝ、言つてください」
「なかには、それだけで相当お高く頂戴できるのもありますが、全部まとめてといふことになりますと、まず、二万五千……どまりでせうか」
「二万五千……へえ、そんなもの? しかたがないわ、明日にでも、引取つてちやうだい」
古本屋が出て行くと、古物商は、
「ひと通り拝見いたしましたが、手前どもといたしましては、あんまり御期待に添はないやうな御値段をおつけいたすのも、どうかと思ひまして……」
