スパルタキアーダの男子FS中に、現在の露男子最年長選手であるサマリンの引退が発表されました。宇野昌磨と同世代の、25歳の選手です。

 

https://www.instagram.com/p/C3cqmpUo46M/?igsh=bmw2enIyd244c2ox

 

今季のプログラムの傾向を見るに「もしかしたらこれがラストシーズンかもしれない……」と思っていましたが、ついにこの瞬間が来てしまいました。ルトフリンの演技中での発表でした。

 

これで露男子の最年長はアリエフになりました。嘘だろ……。

 

チーム・ソコロフスカヤ、そして親交の深いチーム・ルカヴィツィンの兄貴分であるサマリンは、私がフィギュアスケートを見始めた2014-15シーズンからジュニアの試合でアリエフと共に活躍していた選手です。この頃から豪快なジャンプキャラの立っている謎プログラム、そして強烈な謎衣装が輝いていました。彼のジュニア時代の演技を見返すと、弟弟子たちのコンドラチュクやフョードロフの現在の演技に通ずる部分がいくつもあることがわかります。レガシーを感じますね。

 

世界ジュニアには計4回出場し、最後の大会で銅メダルを獲得しました。ジュニアグランプリファイナルでは2位に入ったこともあります。

18歳でジュニアに残留した2016-17シーズンでは「いい加減早くシニアに行かせてやれ!」と何度思ったことか。

 

平昌シーズンにシニアデビューし、彼の代名詞である4Lzを試合に入れ始め、グランプリシリーズでも活躍しました。サマリンの4Lzは勢いある猛スピードの助走から繰り出される幅・高さのある豪快でかっこいいクソデカジャンプです。ロケットエンジンをつけたかのようなパワー全開の跳び方は、4Lzのプロトタイプであるボーヤン・ジンのそれによく似ています。

ロシア選手権でも2位に入り、オリンピック出場を目前にしました。しかし、最終選考である欧州選手権では6位に沈み、残念ながら平昌行きの2人のうちに入ることができませんでした。彼が親友のアリエフと共にオリンピックに行くことが叶わず、何度枠の少なさを恨んだことか。悪いのは枠だよ全部。

 

翌2018-19シーズンでは、欧州選手権で2位に入りました。世界選手権や国別対抗戦に出場したのもこのシーズンです。当時のフリープログラム「ザ・グレイテスト・ショーマン」は彼を代表するプログラムと言ってもいいでしょう。

 

その後、コロナが流行。思うように活躍できなかったシーズンが続き、二度目のオリンピックの切符も逃してしまいました。しかし、昨季からは複数のクワドが当たり前の若い世代に混じって4Lzのみで各試合で好成績を残し、ロシア選手権ではセメネンコ、グメンニクに続いて3位に入りました。

 

後のオフシーズンでしばらく音沙汰が無く「まさかナショナル3位で有終の美か……?」と思われていましたが、大学院を卒業するための修論を書いていただけであることが発覚。今季のテストスケートでは、SP「ロシア水兵の踊り(アバンギャルド水兵衣装ver.)」、FS「懐メロメドレー・サマリンロボ」の彼らしさ全開の愉快なプログラムを披露。グランプリでは2大会連続で表彰台に乗り、ナショナルとスパルタキアーダに出場しました。

 

チーム・ソコロフスカヤ伝統の謎編曲・謎振付・謎衣装・脳筋構成・4Lzは全てサマリンに詰まっています。変な振付も変な衣装も彼だから許されていました。2016-17シーズンSPの虚無顔スタートは一生忘れません。

今や4Lzを跳ぶ選手は男女共に世界に多数いますが、ロケットジェットをつけたかのような4Lzを跳ぶ選手は彼しかいません。

 

サーシャ・サマリン、本当にお疲れ様でした!これからの未来に幸あらんことを!

 

 

 

……ところでコンドラチュクがチーム・ソコロフスカヤ最年長って魔!?!?!?!?!?!?