ロシア選手権から約1ヶ月半が経ちましたが、いかがお過ごしでしょうか。

1月中旬にはジャンプトーナメントが開催され、シングル部門ではジュニアやノービス勢の活躍が目立ちました。そして、2月6日から彼ら彼女らの本舞台であるロシアジュニア選手権が始まります。

 

ライストはチャンネル1公式サイトから視聴することができます。

 

出場選手は以下の通りです。

 

アルセニー・フェドトフ

ニコライ・ウゴジャエフ

エドゥアルト・カラルティニャン

イワン・ラムゼンコフ

レフ・ラザレフ

キリル・クロピレフ

ニコライ・コレスニコフ

ワジム・ヴォロノフ

マカール・プジン

イリヤ・ストロガノフ

マクシム・アフトゥシェンコ

キリル・ノズドレワティフ

マルク・ルキン

ゲルマン・レンコフ

ミハイル・チホノフ

チモフェイ・シェルコヴニコフ

アンドレイ・コツィン

ニキータ・サルノフスキー

 

出場者は基本的にロシアジュニアグランプリのポイントランキングに基づいて決定されますが、怪我などのやむを得ぬ理由によりジュニアグランプリを欠場した代表選手には救済措置が取られる場合があります。例えば今大会では、怪我でジュニアグランプリを欠場したジュニア生代表のサルノフスキーが救済されました。

ポイントランキング上位のマリューチン、セムコフ、コフトゥンが欠場し、シェルコヴニコフとコツィンが繰り上がりで出場します。

 

本記事では男子シングルの選手達をJGPのポイントランキング順で紹介し、大会を見る上での個人的要注目ポイントをピックアップしていきます。

 

No.1 アルセニー・フェドトフ(エテリ門下、J1)

ウルトラC: 3A、4T、4S、4Lz

昨季はノービスにしてジュニアの試合を総なめした前回大会チャンピオン。今季は怪我で出遅れたこともあり、ライバルのラザレフに押されていたが、ジャンプトーナメントでは上質な4Lzを披露し、シニアの選手達を抑えて優勝。他ウルトラCも鉄板な上に4Lzまで試合で決められてしまったら、もう誰も彼に勝てない。

 

No.2 ニコライ・ウゴジャエフ(ダイネコ門下、J5)

ウルトラC: 3A、4T、4F、4Lz

今大会最年長。今季から試合に4Fと4Lzを本格投入し、シニア移行するかと思いきやジュニア残留。SPのNemesis(通称「ウゴシス」)とモデルコンセプトのFS(通称「ウゴ・サンローラン」)の名プロ2つを携え大活躍。それでもTESで若い衆に押され気味なので、4Tを復活させたいところ。 残留したからには優勝を狙いたい。

 

No.3 エドゥアルト・カラルティニャン(ソコロフスカヤ門下、J3)

ウルトラC: 3A、4T、4S、4Lz

昨季の課題だった3Aを遂に習得し、スケーティングの質も向上させ一気に覚醒。ソコロフスカヤ門下らしい脳筋構成に加えて、持ち味である圧倒的な柔軟性を誇るスピンで表彰台を狙いたい。4Lzは今季封印中だが、構成に入れて成功させたら、もしかしたら優勝も夢ではないかも。

 

No.4 イワン・ラムゼンコフ(ダヴィデンコ門下、J1)

ウルトラC: 3A、4T、4S

ラザレフやフェドトフに引けを取らないサンクトの天才少年が遂にジュニアナショナルに登場。モザリョフがエテリ移籍した今、名実ともにダヴィデンコエースとしての立場を確立。オールラウンダータイプの選手で、ラザレフ、フェドトフ、ウゴジャエフらと真っ向勝負できる実力の持ち主。

 

No.5 レフ・ラザレフ(ダヴィドフ門下、J1)

ウルトラC: 3A、4T、4S、4Lz

おそらく「打倒フェドトフ」の目標を掲げて挑む今季。ジュニアグランプリ1戦目では台落ちしてしまったものの、2戦目とジュニアチャンネル1杯では直接対決の末フェドトフに勝利。今季からは4Sも投入し、超脳筋構成でジュニアナショナル優勝を狙う。ただしPCSが弱点なので、ミスは絶対に許されない。

 

No.6 キリル・クロピレフ(ブツァエワ門下、J3)

ウルトラC: 3A

ウルトラCは3Aのみの選手だが、シーズン序盤に覚醒し、ジュニアグランプリでまさかまさかの大活躍。多彩な動きを多く取り入れた楽しいプログラムが魅力の選手。今季はジャンプが安定しているので、ジュニアグランプリの勢いのまま上位を狙いたい。

 

No.7 ニコライ・コレスニコフ(ソコロフスカヤ門下、J2)

ウルトラC: 3A、4T、4S

「プルシェンコの再来」とも言われた天才少年がさらに強くなってジュニアナショナルに帰還。昨季終盤から膝の病気(おそらくオスグッド・シュラッター病)と戦いながら試合に出場しているが、それを感じさせない程の活躍を見せている。若干ジャンプが不安定気味だが、ノーミスすれば表彰台は十分に狙える。

 

No.8 ワジム・ヴォロノフ(リュチコフ門下、A2)

ウルトラC: 3A、4Lz

今大会最年少の昨季全露ノービス年長チャンピオン。今季はジュニアの試合に殴り込みにやってきて、お兄さん達に負けない活躍を見せる。ウルトラCの数ではフェドトフらには及ばないものの(それでも3Aは鉄板)、TRや音の取り方などPCS面も強みなのでミスのない演技をすればダークホースになりそう。

 

No.9 マカール・プジン(スミルノワ門下、J2)

ウルトラC: 3A

代表選手ではないもののジュニアテススケに出場し、昨季とは別人のように上手くなった姿を見せ露男子ファンを震撼させた選手。同門の先輩であるポポフを彷彿とさせる重厚感のあるスケーティングや体幹を使った振付が特徴的な選手。他のトップ選手と比べるとTESがやや弱いので、ミスのない演技は必至。

 

No.10 イリヤ・ストロガノフ(フェチソワ門下、J3)

ウルトラC: 3A、4Lz

今季まであまり注目されなかった選手だが、パニン記念でいきなり4Lzを決め、露男子ファンの間にその名を知れ渡させる。続くジュニアグランプリでも活躍し、「ビーフ」の愛称で親しまれるように。ヤブロコフを彷彿とさせる、手足を竜巻のように動かして活かす動きが特徴。

 

No.11 マクシム・アフトゥシェンコ(プルシェンコ門下、J4)

ウルトラC: 3A、4S

ジャンプに全振りしていることでお馴染みの露男子ロックスター候補。今季からはウゴジャエフと同じお兄さん枠。爆発力はあるが、PCSに加えてスピンとステップも捨てているため、一度ジャンプミスをしてしまったら中々挽回できないのがネック。それでも露男子ファンはみんななんだかんだで彼を応援している。

 

No.12 キリル・ノズドレワティフ(ブツァエワ門下、J1)

ウルトラC: なし

ノービス時代に目立った成績は残さなかったが、今季のジュニアグランプリ2戦目でまさかの台乗りを決め、そのままジュニアナショナル出場を決めたシンデレラボーイ。ジャンプは得意ではないが、端正なスケーティングと柔軟性が持ち味。フリーの「ロミオとジュリエット」では美しい衣装にも注目。

 

No.13 マルク・ルキン(ブツァエワ門下、J3)

ウルトラC: 3A、4T

ノービス時代に注目されていた選手で、ここ数年は若干沈みがちだったものの、今季からは上り調子。柔らかな所作が魅力の選手で、今季4Tを習得し、試合で活躍するように。今大会に出場しているブツァエワ勢の中では一番のポテンシャルの持ち主。

 

No.14 ゲルマン・レンコフ(ミーシン門下、J1)

ウルトラC: なし

ラザフェド世代からまさかのレンコフがジュニアナショナル出場。ノズドレワティフと同じく、ジャンプを得意としている選手ではないが、華のある所作、エレメンツの配置や音の取り方のセンスが光る。SPは同門の先輩であるヴェトルギン振付のプログラム。将来的にウルトラCを習得したら一気に上位争いに加わりそう。

 

No.15 ミハイル・チホノフ(ソコロフスカヤ門下、J2)

ウルトラC: 3A、4T、4S

昨季終盤にCSKAソコロフスカヤに移籍してから一気にウルトラCを複数習得。やや安定感に欠けるものの、丁寧な所作、滑らかなスケーティングやそれを活かしたステップは健在。スミルノワ門下の良さとソコロフスカヤ門下の良さを上手く融合させている選手。

 

No.16 チモフェイ・シェルコヴニコフ(ダヴィデンコ門下、J3)

ウルトラC: 3A

テススケに出場したドミトリーではなく、双子の兄弟の方のチモフェイがまさかのジュニアナショナル出場。ドミトリーは猛スピードの滑りが特徴だが、チモフェイは重心の低いスケーティングが特徴的な選手。ちなみにFSは古代ローマコンセプト。今季のSPQR代表は君だ。

 

No.17 アンドレイ・コツィン(ミーシン門下、J1)

ウルトラC: 3A

ミーシン門下の天才少年といえば今季ノービスA1のハムジンだが、ラザフェド世代のコツィンも負けていない。体幹の強さとそれから来るであろう安定感のある滑り、そして躍動感は同世代の選手と比べてもずば抜けている。これから花開く発展途上の選手だが、セメネンコ2世っぽさを感じる。

 

No.18 ニキータ・サルノフスキー(プルシェンコ門下、J3)

ウルトラC: 3A、4T、4S、4Lz

昨季終盤に覚醒し、今季も更に進化するかと思われたが、怪我でジュニアグランプリを欠場。だが、無事に回復し、インスタでは上記以外の種類のクワドを成功させた動画を載せている。今季は救済でジュニアナショナルに出場。ミスのない演技をすれば表彰台を狙えるが、怪我の影響が気になるところ。

 

 

この記事を書いている間にコレスニコフが欠場していました。理由は不明ですが、次の試合でまた元気に滑っているところを観れることを楽しみにしておきましょう。

 

順当に行けば今季もフェドトフ vs. ラザレフの頂上決戦が観れそうですが、フェドトフが4Lzを決めてしまったらノーミスのラザレフでも勝てるかわかりません。この二人の争いにウゴジャエフカラルティニャンラムゼンコフサルノフスキーが割って入ってきます。ミスのない演技をすればチホノフヴォロノフアフトゥシェンコも上位争いに加われそうです。

個人的にはラザレフがフェドトフとのノーミス対決の末に優勝するところが見たいですし、かといってフェドトフが負けるところも見たくないですし、残留したウゴジャエフにもここできちんと実績を残して欲しいところです。今回が復帰試合となるサルノフスキーがどこまで調子を戻してきているのかも気になります。

カラルティニャンが優勝掻っ攫っちゃったらどうしよう。

 

今大会は男女フリーをTwitterスペースで実況する予定なので、一緒に試合を楽しんでくれたら嬉しいです!