LOTFの最後、ストレートにたたみかけられるこの言葉。
今日のお昼過ぎ、ショッキングな第一報が入ってから数時間の、我ら大輔ファンの反応をTwitterで呆然と眺めていて、私の脳裏によぎったのが、この言葉だった。
大輔さんは、左足内転筋の肉離れにより、PIWとFOIでの滑走をとりやめた。
ショックでないわけがない。
今年、私は一度も大輔さんを生で観ていない。
そして、久々の競技プログラムをFOIで観られることを期待して、いい年こいて浮かれた記事を書いたりなんかさえして、待ちわびていた。
それが、なくなったんだから。
でも、同時に、安堵したことも、確かなのだ。
大輔さんが、今度こそ、「全日本の最終グループ」という目標に向かって、真っすぐに走り抜こうとしている、という、その、強靭な意志がひしひしと伝わってきたからだ。
第一次現役時代の大輔さんは、本当に色々なものを背負っていた。ある意味、不必要なまでに。
マイナー競技の中でも女子よりマイナーだった男子フィギュアスケートの第一人者として、その、「ノーブレス・オブリージュ」を呼吸するように自然に果たそうとする気質ゆえに、彼は、ありとあらゆる義務と期待に応えようとし続けた。
前十字靭帯断裂の大怪我の時以外、大輔さんが「出る」と明言していたショーをキャンセルしたことは、私の記憶にあるかぎり、一度もなかった。
JapanOpenや国別対抗戦といった「花試合」にも、競技の「顔」として出続けた。
右膝に爆弾を抱えていても。
しかし、人間は機械ではない。
無理に無理を重なれば、いくら鍛え抜かれたアスリートといえど、信頼厚いトレーナーを専属でつけていようと、どこかでひずみが出る。
そうして、一番だいじなシーズンに、彼の宝の脚は、潰された。
胸つぶれる思いで、だいじな人が壊されていくのを、ただ手をこまねいて見ているしかなかった私たちは、傷ついて、荒んだ。
でも、もう、その轍は踏まない。大輔さんも、私たちも。
私たちは、強い。
私は、強い。
およそ仕事に穴をあけたことのない大輔さんが、ファンとの絆を大切に思う大輔さんが、ショーでの滑走をとりやめた。
10月に迫った近畿ブロックの選手権への出場を、優先した。
そういう判断を、してくれた。
その身に鞭打って、二兎を追うのではなく。
今度こそ、「やり切る」為に、取捨選択した。
その強さを、彼は「わがまま」と表現するかもしれないが、身を切る思いで何かを捨てることができることも、「強さ」に他ならない。
それも、単に放り出すのではない。滑走はできぬにしても、一目彼を観たい、と足を運ぶファン達の為に、挨拶には立つというのだ。
「現役復帰」を宣言した彼にとって、今、何が一番大切か。
それを、きちんと突き詰めて考えて、彼の出した結論がそれであるならば、
私達にできることは、それぞれの立場で、その彼の判断を尊重すること。
「陽」の気を贈ること。
応援している、愛している、期待している、と伝え続けること。
人にはそれぞれに、様々な条件がある。
私は関東圏在住だから、遠征費の心配はない。
ショーを観に行くことについての根回しも、既に済んでいる。
だから、買ったきりで一度も振っていない、バラ色と桜色のバナータオルを思いっきり振りに行く。
しっかり治して、試合頑張って!!と叫びに行く。
それが、私の選択。
もしも、遠方にお住まいだったりして、観に行くことを断念される方は、どうぞそのことに罪悪感など持たれませぬよう。
応援には、支援には、色々な形があるのですから。
私たちは、強い。
私は(大輔さんは)、強い。
応援の念を、託したいという方は、どうぞお任せください。
微力ながら、精一杯、あの方に、届けて参りますから。