聞こえる筈のない声に 何度問い掛けただろう
2度と来ない機会を言葉だけが待ち続けていた
徒らに鳴り響いたあの時は煩わしくて
闇雲に請い願ったあの頃は情けなくて
本当に待ち望んだあの日は疑わしくて
全て少しずつ"いたんだ" 君からの着信だった
備えを通り越して言葉が消えていく
君の声が届くたびに想いを形に為す意味が薄れて
何がしあわせなのかだけ確かなものに感じられた
あんなに忘れられなかった思い出が褪せる
なのに思い出せなかった記憶は帰ってくる
君のしあわせを願ったあの日もどこか遠く
このままじゃいけないと思うたび君と繋がる今に縋る
本当に誰かのしあわせを願う事なんて出来るだろうか
自分の幸せさえ見付けられず手当たり次第に欲張る
問い掛けるたびに応えてくる声が響く
躊躇うその姿に答えが否応なく物語る
「繰り返す気なのか」と自問しても
自信を持って言えることは何も無かった
備えを通り過ぎて感情が惚けていく
何が一番か思い出すのは簡単なのに
笑顔で送り出せずに囚われたフリをする
あんなに忘れられなかった思い出が褪せる
なのに思い出せなかった記憶は帰ってくる
君のしあわせを願ったあの日もどこか遠く
このままじゃいけないと思うたび君との距離に怯える
愛し合うことも分かり合うことも
どちらかが求めなくなった時点で
意味を失ってしまうのだろう
想い求めることが僕の我儘ならば
君は今も僕を通して傷付くだけで
「せめて」と願うことさえ叶わない
さよならに閉じ込めたかなしい気持ちは
言葉を伝えるだけで届いてしまうから
何も通うことなく途絶えてしまえばいい
どうしても忘れられない思い出を口にせず
思い出せない記憶は帰る事の無いように過ごす
君のしあわせを願うことさえ今日も圧し殺して
何もかもが無かったこととして君の居ない今に眠る
