遠行雑記-349
昭和の時代にはちょっと地方に出張すれば一泊するのが普通でした。なにしろ戻りたくても足がない…つまり交通手段が現在のように多様ではありませんでしたからねぇ。しかし、たとえ田舎の安宿に素泊まりのしがない出張であっても、ひとっぷろ浴びてその日の疲れを流し、ひとり手酌で安酒一杯やってから横になるのも楽しみの一つでありました…。
ところがバブル崩壊に加えてリーマンショックで経済がガタガタになると、並みの出張では一泊もさせてもらえません。北海道でも九州でも仕事が終わればすぐにとんぼ返りです。なんたって景気が良かろうが悪かろうが仕事だけは山のように積まれて自分を待っているんですからねえ~。
若い時分にはね、私もやりましたよ日帰り出張。疲れるんだよナこれが、おそらく寿命が数年縮まりましたヨ。でもね、そんな遠い昔を思い出してやってみることにしました。日帰り旅行。行先は北九州です。エッ? おいぼれ爺ィなどにはとても無理だろうって?
「まあまあ、篤とご覧あれ!」
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老体に鞭打って早起きし、やってきた羽田空港は生憎の雨…。
「なんだよナ~。せっかく張り切って窓際席を取ったのにィ~」
思えばコロナ騒ぎが始まってから三年間は一度も飛行機に乗っていませんでした。機窓から写真を撮るのが楽しみのG爺にとって言わば失われた三年です。まったく…、人生の晩年にパンデミックを経験したことで貴重な時間を奪われてしまったことが悔しくてなりません。
グランドハンドリングの皆さんも早朝から雨の中。ありがとうございます!
滑走路までタキシングを開始しましたが、窓にたたきつける雨のせいで外は殆ど何も見えません。どうやら今回はC滑走路から北に向かって離陸するようですが、C滑走路といえば正月のあの悲しい事故が起きた場所です。災害地を目指していた隊員5名の尊い命が一瞬にして奪われた所なのです。
事故現場を通過する飛行機の中でご冥福を祈りながら雨の羽田空港を飛び立ちます。
飛行機はあっという間に雲の中へ…。その後はただただ眩しい雲海の上をひたすら飛び続けます…。楽しみにしていた富士山も見られませんでした。
やっと雲間から地面が見えるようになったのは飛行機が中国地方上空に入った頃…。
このあたりから先は晴れていそうです。
あれは何川だろう? ちょっとわかりません。
しばらくすると眼下に航空自衛隊『芦屋基地』が見えてきます。もう九州なんですね。
着陸態勢に入り『玄界島』上空を通過。
『志賀島』。
『海の中道』を左手に見ながら…
福岡市上空に入ります。
左手に福岡空港が見えてきました。このあと大きくレフトターンしてあそこに着陸です。
大きなバンクをとってレフトターン。
新幹線の線路を横切り…
福岡県道60号 『飯塚大野城線』を越えたらもうすぐ…。
手に汗握る…あぁ、久々の興奮!
来たぞっ! ドキドキドキッ!!!
ハイ、着陸です。
幸いにも当地の天気は良好。