遠行雑記-340
翌朝、宿の窓から海を眺めて仰天です。昨日はあれほど穏やかな良い天気だったのに今はどうでしょう。横殴りの雨に強い風、海面も大きくうねって嵐のようです。どうやら前線が通過中で本日午前中の天候は大荒れの予報です。
「なんだよー。ついてないナ~。これじゃあまり無理な観光はできないナ」
などととぼやきながらも、できるだけ多くの観光スポットを巡りたいと早朝から宿を出ました。なにしろ次にいつ来られるかわからない…イヤ、もう二度と来られないかも知れませんからネ。
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本日の最初の観光場所は宿泊した宿からほど近く、島の西岸にある変わった岩の造形です。
その名の通りの『猿岩』です。《日本の奇岩百景》に認定されているそうです。
高さ45m 。全体の形といい、目や鼻の位置といい、自然にできたとは思えないほどです。
「近所のヤキトリ屋のおやじに似てるよナ~」などと言いながら次のスポットに移動です。
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西海岸の猿岩から一気に東海岸に走ります。途中、島の中央近くにある『月讀(つきよみ)神社』に立ち寄りました。日本全国にある月讀神社の本宮という由緒ある神社だそうです。
しかしながら、この強風の中、長い階段を上るのはG爺には難しいと判断し、鳥居をくぐって下からお参りすることにしました。
お賽銭抜きではありますが、二拝二拍手(パチパチ)一拝。
「よろしくお願いしま~す」
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次にやって来たのは壱岐を代表する景勝地、東海岸の『左京鼻』です。
晴れていれば美しい海岸線が見られるのでしょうが…今は横殴りの風で傘も使えないほどです。
「い、いいじゃない。《雨奇晴好》といってネ。晴れでも雨でもそれぞれ趣がありますヨ」
…ただの強がりです。
断崖絶壁が1kmも続きます。このような岬の絶壁のことを『鼻』と呼んでいるそうです。素晴らしい景観ですがこの先一歩進むと…
二度と帰らぬ人となってしまいます。
可愛い花につられてこれ以上進むとすぐに断崖絶壁ですからね。今日は風も強いのでこの辺から眺めましょう。
真っ黒な玄武岩の柱状節理の小さな島は『観音柱』と呼ばれています。その昔、島が神様とともに流されぬよう八本の岩柱でつなぎ止め、その柱が『折れ柱』として今も残っているのだという伝説です。既出の『猿岩』も折れ柱のひとつだそうです。
断崖の突端にある龍神様に旅の安全を祈願してお遑(いとま)致しましょう。
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左京鼻から1kmほど戻って港の突堤に参りました。雨風はますます強くなっています。
ここは『はらほげ地蔵』というスポットです。
突堤の先端に六体の地蔵が並んでいます。
いつ誰が祀ったのか不明だそうですが、海難に遭った海女さんやクジラなどの法要のためだといわれています。おなかの部分に小さな穴が開いているため『はらほげ』なんだそうですが、風や潮にお供物が流されないようこの穴に入れたらしいのです。
満潮になると地蔵たちの胸のあたりまで海水に浸かってしまうそうです。その光景も見てみたいものですネ。
なかなか珍しいものが観られました。それにしてもここはすごい風。早めに次の場所に移りましょうか。
海難に遭ってはならんゾ。('_')
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