初めてスペインへ行ったのは大学を卒業時、同じスタジオでフラメンコを学んでいたNちゃんを誘っての女子二人フリー旅。スペイン語もほとんど知らなかったけれど、普通の観光地を巡るだけでなくフラメンコに沢山触れたい、と往復の飛行機だけを予約して行きました。
  心配した当時の先生がマドリードとセビージャそれぞれ在住の日本人を紹介してくれて、ホテルや列車の手配を手伝ってもらったり簡単なガイドをしてもらったりしながらも、旅は基本二人きり。「地球の歩き方」を片手に目をパチクリさせながら、見るもの全て珍しく、憧れのスペインにワクワク、ドキドキ、ヒヤヒヤの珍道中でした。
  今思えば危ないコトこの上ないのですが、早朝に飛行機でマドリードに到着し、学生の貧乏旅行なので空港から街中へは安いシャトルバスで移動、その後最初の一泊だけ日本で予約したホテルに地下鉄で向かうのに、二人ともスーツケースを持って来てしまい…早朝の地下鉄の構内をガラガラと大きな音を立てて荷物を引いて歩くので、人が少ないとはいえお上りさんの観光客丸出しでした(^^;)
   何とか無事に目的のホテルに着き、時間が早いのでスーツケースだけ預かってもらい、ホッとして近くのバルへ入ってみました。もちろん初めてのバル体験。真冬の底冷えのするマドリードの朝、定番のカフェ・コン・レーチェ(ミルクたっぷりのカフェオレ)ではなく、ココアを頼んだでしょうか…,小さなバルだったけど、これがスペインのバルってやつかー、と見るものすべて新鮮でしげしげと見渡し、静かに新聞を読みながらカフェを飲んでるおじさんを眺め…。と、バルのご主人がニッコリとチューロを一つづつ、目の前に置いてご馳走してくれました。スペインではチューロはホットチョコレートやココアに浸して食べるのが定番です。20代前半の二人とも小柄な私たちはスペイン人にはまだ少女のように見えたのでしょう。ニコニコと優しく見守るようなおじさんの眼差しに、初めてのスペイン、しかもフリー旅行で初日とはいえずっと緊張していた私たちの心はほぐれてとても嬉しく、文字通り心も体も温まり幸先の良い旅のスタートとなりました。
  それにしても、若いって無知で無謀ですね。危ない目に遭わなかったのは本当に幸いだったなー、と思い出してもハラハラしてしまいます…😅