ヤンツェクに「カバンの修理の仕方勉強したいんだけど」と頼んだら
「あなたはここでそんなに働くわけじゃないし、
修理する機会は無いから、必要ないわ」と言い切られ、
自分のシマに触るなって事ね、どうしたもんかね、、とは
思っていたが、今日はかなり参った。でもヤンツェクは別に私を
嫌っているわけでもなく、冗談言ったりあれやこれやと楽しく
話もしたりするが、「シマに入らせないわよ」という
サブマネージャーというか、影の支配者、一番のやり手販売員の
彼の意志とそれとは別。
先週末に、2、3人組のジプシーの女性が、マリーアントワネットみたいに
フープで膨らんだスカートの中に何とスーツケースを吊るして隠して
盗難していったのに、ヤンツェクは気が付かないという失態をおかしたので
売り上げで埋めたかったのかもしれないし、2週間休暇に行く間の分の
売り上げを、その前にたたき出したかったのだと思う。
或いは、「ツナ子はうちの店では要りませーん、ハイ売り上げゼロね」
と、オーナーに何とか示したかったのかもしれない。
オーナーは個人別売り上げを殆ど見たりせず、給料に全く反映しないと
皆口を揃えていうが、内心気にしている店員は多いし。
ヤンツェクは、正に女性らしいやり方で私を締め上げたが
さすがにやり過ぎたと思ったらしく、最後は気を遣って
チョコレートを薦めてきたり、容姿を褒めるというわかり易い
心遣いを見せた。彼は私が策略をめぐらして勝てるような、
一筋縄で行くような相手ではなく、店を自分の城のように築きあげて、
閉店の時は60歳くらいのパートナーがほぼ毎日迎えに来て、
事務室で待っていたりする。私も年も年だし、泣くほど辛いわけでもなく、
まあ私が接客するより彼が接客した方が、お客さんにはいいに
決まってるので、道理にかなってる事なのは認めるけど、
さすがに気分が落ちて、ちょっとしゃべる元気が無くなった。
今週一杯仕事を仕込んでくれるように頼んだヤンツェクは
わざと何も私に教えず、更にに接客すらさせないという手段に出て、
週末にヘルシンキに遊びにやってくるサンクトぺテルスブルグの
リッチなロシア人相手にガンガンに売り上げを出した。
明々後日からマネージャーと二人きりで、接客どうしたらいいんだよ??
と考えるとため息が出るが、その時出来るベストを出すしかない。
ヤンツェクは、ルパン3世を美人にしたような容姿で、髪はくせ毛、
目は綺麗なブルー、唇は赤く分厚く、体系は正にルパン。で、オネエ。
私のシャツの間からちょっとだけ見えるエルメスのスカーフを
じっと見て、瞳孔をクワッと開き、
「それ、いいのね。いいのだわ、どこの?」と聞いてくるくらい、鋭い。
「あなた凄いわねー、目から透視ビームでてるみたい、
何でもお見通しね」と、感嘆した。
そんなヤンツェクは、もしかしたらヴィ☆ンに移るかもしれない、と
私は踏んでいる。