久々にセイコー3RDダイバーの輸出仕様を

入手したので、思うことを書きます。

 

 最近は、輸出仕様のセイコーダイバー、

6139、6138などのクロノグラフもヤフオクで見かける

ようになってきました。

 しかし、ぱっと見だけでも調子の悪そうな個体が

多いので閉口します。

 ましてや、社外部品を使用して綺麗に仕立ててあるものが

とても多いですね。

 しかも、割と高額で取引されています。

 

 以前と比べて輸出仕様も評価されてきたというのはうれしい限りですが、

その実は、国内仕様物が高騰しているという理由からかもしれません。

 

 10年以上前には、いわゆる東南アジアモノ(と私は呼んでます)

がネットオークションの普及とともに世界に流通したのは記憶に新しいです。

 今では、本家フィリピンにはもう在庫は少ないとおもいます。

 

 オリジナルの個体を買って、何本か修理に出したこともありますが

やはり東南アジアモノは修理が悪く、だいたい地板がだめになったものが

多いですね。時計屋さんが手持ちのジャンクから地板を使ってくれて

修理してくれました。

 

 そのうち、というか並行して「社外品」部品が流通しはじめました。

ダイヤル・針、ましてケースまで!

 すごい世界ですね。

第三国でのセイコーの新品価格は高いです。これは今でもそう。

だから中古を回収して、綺麗に仕立てて販売したんでしょうね。

 

 そんな個体が、また日本へ里帰りして売られています。

あるものは完全ジャンクとして、あるものは貴重な個体として、

それぞれ値段が付いています。

 近年のあのセカンドダイバー高騰から特にその傾向は強い気がします。

 

 この記事を読んで参考にする方はほとんどいないと思うので(笑)

 

参考までに・・・・

 

1.セカンドダイバーのノン・オリジナル

 これはだいぶ少なくなりましたが、たまに見かけます。

そのほとんどが文字盤と針が社外品。

文字盤の見分け方は、SEIKOの「ロゴ」がポイント

とだけ申し上げておきます。

あとは出来の悪いのは6時下の印刷が雑です。

 

2.サードダイバーのノン・オリジナル

 これはけっこう見かけます。

6309の輸出仕様(シンガポール製)のケースは本物で

文字盤が社外品で諏訪マーク付きのもの。

ベゼル板、針とも社外品。

ひどいものになると、6309裏蓋にJAPANの刻印を追加

したものまであります。

 

3.残念な6139

 これも最近は多いです。これが一番多いかな。

6139(輸出仕様)ですが、文字盤・針・外周板が社外品のもの。

うまく動けばそれもいいかもしれませんが・・・

まともに動くものは少ないとおもいます。

 

 人様の買い物にケチをつける気はないのでこのくらいにしておきましょう(笑)

 

さて久々の6309輸出仕様のサードダイバーです。

もはやアメリカでもコレクターズアイテムになっているので

良い出物はほとんどありません。

私が「良い」というのはオリジナルの状態を指します。



 

 この個体は初期の日本製です。

サードダイバーは国内仕様は21石の6306でハック機能付き、

輸出仕様は17石の6309でハック機能無です。

 

 初期輸出仕様は、諏訪精工舎製でした。 6309-7049

なので文字盤には菱形の諏訪マーク、

裏蓋にはJAPAN Aの刻印があります。

 同じ6309-7049でも80年頃から海外製に

なります。セイコー品質の海外製なので、文字盤に諏訪マーク無、

裏蓋にJAPAN刻印無。初期海外製は6時下に、

MOV'T AND DIAL JAPAN CASED HONGKONG

と明記されます。

 


これ以降の6309のバリエーションはわからないので、

書けませんが、本家サードと同じ形状のダイバーはこの2つですね。

 

 そして、6309サードダイバーには欠点があります。

それは夜光塗料が弱いことです。

 日本より乾燥しているアメリカに輸出された個体でも

ほとんどの個体のダイヤルの夜光が黒ずむか黄色く変色しています。

手持ちの6309も夜光が黒ずんでいます。

6306国内仕様だと、黄色くなることはあっても黒ずんだ個体は無い気がします。

おそらく塗料の調合割合が違うんでしょうね。

 

 この辺りの理由から社外品の文字盤が出てきたんではないかとおもいます。

特に日本より湿度の高い東南アジアで酷使されれば当然パッキンがだめになって

湿気が入り込みますから余計文字盤はだめになりますね。

 

 今回の個体は夜光が黄色くなってきていました。

黒ずむよりはいいかもしれません。

 

 ベゼルを外してきれいにして、ガラスは専門店でリカットしてもらいました。

 竜頭をきっちり締めないで使っていたらしく、

機械が少しサビていました。

 おそらく、このままオーバーホールに出しても

修理はしてくれそうですが、以前材料屋さんにわけてもらった

デッドストックの6309機械があったのでこれをOHして

使ってもらおうと思います。



 

 そのくらい、6309サードも見かけなくなったので手をかけようということです。

 

 里帰りのセイコー、整備に出せばまた日本国内で活躍してくれるはずです♪