ひと夜の旅には

 約束が

 ない


 戻るという

 契りも

 ふたたびこの世を生きるという

 誓いも

 だれかにたしかに愛されているのだという

 証も




 闇への旅を旅するのは

 はたして

 わたしか

 わたしでないのか



 明けない夜はないのだ、と

 そんなちいさな

 いいえ、おおきな

 理さえも失って


 夜の帯にぎゅうぎゅうに巻かれ

 わたしを迷ってもんどりうった 

 わたしが



 しずかに

 戻る



 朝陽がくれる光の粒が

 ほんのちいさな粒たちが

 やっとの思いで寄り集まって

 朝を創ってゆくように