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2020年04月11日 11:14
コロナウイルスのせいでどこにも行けない今日、LEGOはSNSを使って「本日のお題!」を展開し、広く自宅LEGO引きこもりを薦めていますね。こういう形でSNSを活用し、外に出なくてもLEGOというアイテムを通じて繋がっていけるのは、とても良いことだと思います。この自粛期間中は、とりあえず家におれと。そしてLEGOを遊びつくせと(笑)。これは、子どものおもちゃとしては真っ当な姿勢ではなかろうか。その一方で、8月1日のマリオ・シリーズの予約も一部始まっており、今後発売のセットのビジュアルも少しずつ公開してゆくなど、全世界が大変な中でもLEGOは着々と、次なる興味の持続に向けて動き出しています。それだけでも安心感がありますね。さすがLEGO。もちろん経済的には大打撃で、お財布の紐は固く締められることになりましょうが、Amazonなどを活用して、少しでも安く入手して、この自粛期間で培ったスキルを今後に活かせたら良いですよね。
今回のコロナウイルスをめぐる件については、政府の方針やらマスコミの報道の仕方やらマスク消毒液の不足問題やら買い占め問題やら転売問題やら自粛問題やら何やらかんやら、言いたいこともあるし腹立つこともあるし、将来に対する不満もあるし正直フラストレーションが溜る毎日ですが……まあ一個人がこの期間中にできることは多寡が知れているので、今の状況をしっかり見据えた上で、粛々と今できることをやるしかないのかなと思います。大阪は吉村知事がたいへん努力されているので、それが救いですね。
コロナウイルス+家庭の事情により、仕事の範囲が今までよりは、やや狭まっている今日。昨年度よりも早く帰宅しているので、家の中で過ごす時間が増えています。とりあえずLEGOの整理。欲しいパーツの場所をすぐ把握できるように、色ごと・パーツの形ごとに分けて収納しました。実は去年の6月くらいからやっているんですが、この期間にようやく完了しそう。
あとは、ちまちまオリジナルの作品を作ったりもしておるわけです。LEGOオフィシャルのお題だけでなく、SNS上で投稿型のモデル・コンテストがいくつかあるようなので、それに向けて。そのたび整理整頓が中断するわけなんですが……。そんな中で、「あ、これはけっこう面白いな」と思ったことについて、書いてみたいと思います。あくまでも個人的興味ですよ。
オリジナル作品――何を作るのが一番多いですか? 乗り物? ロボット? ジオラマ? 僕の場合は最近はもっぱら生き物です。しかも、かなり偏った動物。基本的には映画準拠なので、恐竜だとかドラゴンだとかそういった「生き物」をLEGOで作ることにハマっています。
オリジナルで作品を作る時、やり方は色々ありますよね。僕の場合、「生き物」を作る時は写真や立体モデルなどの資料を集めた上で、設計図などはなしにいきなり作り始めます。面倒くさがりなので(笑)だから、元々イメージしていたものと実際に完成したものが違っていて当たり前。イメージ通りにできるかじゃなくて、イメージよりも良いものができるかどうかが勝負どころなわけです。
「どこから作る?」ということについては、基本的に頭から作り始めます。これはもう本当に幼稚園くらいからのくせです。「人形は顔が命」なんていいますけど、まさにそれなんです。絵を描く時も全体のバランスとか度外視して、まず顔から描き始める。だからできあがったものを見ると、やたらと頭でっかちなものが少なくない。ちょっとどうかと思うくらいバランスが悪い。
これが絵だったら、「下手だなあ」で終わってしまうんですが、LEGOだとそうはいかない。立体モデルである以上、自立しなきゃならない。スマウグのような首の長いドラゴンタイプは、さすがに自立できなかったので支えを付けました(首の角度と尻尾の角度を限界まで上げれば一応、自立する)。僕はアクションフィギュアやソフビで育った世代なので、ベースプレートや支えがなくても自立して、自由に動かして遊べるようなモデルが良いなあと思うわけです。だからやっぱり、全体のバランスを考えないといけない。
このバランスが、二足歩行の動物を作る時には非常に難しい。
たとえばこれが、ゴジラやガメラのような東宝大映の、いわゆる王道的「怪獣」であれば問題はない。
ところが実際の恐竜を作る場合には、この後脚のデザインが全体のバランスのカギを握ることになってしまう。
いわゆる指行性ってやつです。
踵を浮かせたつま先立ちの状態。「く」の字と「ゝ」が上下に重なったようなラインを描きます。これにより脚全体の長さを確保して、移動などを俊敏に行うことができる。哺乳類と鳥類がこの指行性らしい。恐竜は鳥類と深い関係があり、今の研究では鳥類は恐竜の中の獣脚類というグループから出てきたようなんですね。だから鳥って、実は恐竜なんです。
獣脚類に属すのは、ヴェロキラプトルなど現在の鳥類に近いものから、ティラノサウルスやスピノサウルスなどの大型肉食恐竜までたくさん。二足歩行の肉食恐竜は全てこの獣脚類に含まれていると考えて良い。もちろんテリジノサウルスなど、獣脚類でありながら草食性の恐竜も例外的にはいるんですが。僕は肉食恐竜が特に好きなので、LEGOで恐竜を作ろうと思ったら、そのほとんどが指行性なわけです。あと、スマウグやハンガリー・ホーンテールなどのドラゴンも基本は指行性ですね。ということは当然、彼らを作ろうと思ったら、この指行性で作らないといけない。これが中々難しいのです。
ゴジラのように体重が頭のてっぺんからそのまま真下に下りていくタイプの身体であれば問題ない。けれど指行性の場合、胴体の両側から出た脚がまず身体に対してやや前気味に傾いて伸び、今度は後ろ側にカーブを描き、またまた前向きになって地面に着く形になる。上から下へまっすぐでなく、前後にやや傾きながら地面に達する構造なので、バランスが取り辛いことになる。
脚だけでも自立が難しいのに、大型獣脚類の場合は、そこに大きな胴体や頭や尻尾が付くわけです。ここを端から固定してしまうなら、話は簡単なんですが、少しでも可動部位を組み込もうと思ったら、両後脚と身体の重量的バランスも計算しなければならない。
僕の場合特に、頭が大きくなってしまうので、どうしても前が重くなってしまう。後脚の付け根のところにクリック関節を組み込んだ場合、頭の重量に耐えきれずにすぐ前にまた向いてしまう。それを解消しようと思ったら、尻尾側にも同じくらいパーツを付けたして重さを加え、釣り合いを取らなければならない。後脚の付け根を中心に、頭と尻尾のシーソーが上手く釣り合って身体が平衡を保てるようにする必要があるわけです。
ただこれの大きな欠点は、パーツを付けくわえれば付け加えるほど全体が重くなるということ。胴体が重くなれば当然、後脚も重量負けしない丈夫なものにしなければならず、それ自体も相当の重さが求められる。ただ、可動部自体の教化はできないから、重さによって可動部に負荷がかかると、今度はクリック関節がその重さに耐えきれずに簡単に動いてしまう。そういう面では、この前に作ったティラノサウルスの可動は、もうガバガバです。特にティラノサウルスは頭がデカいので、どうしても釣り合いを取るために尻尾を重くしなければならず、非常に重い作品に仕上がっている。だから少しでも前後のバランスが崩れると、すぐにへたり込んでしまう。そのためにほとんど脚を動かせないという状態になってしまっています。クリック関節であれボールジョイントであれ、それほどの重さに耐えられるものではない。一番強いのは、前の記事でも紹介した、♂←こんな形の奴が二個逆向きに重なっているようなやつ。これの保持力は、とても優れている。
重量を解消しようと思ったら、徹底的な軽量化しかない。まだコンテスト前なので画像は載せられませんが、次に作った恐竜は、とてつもなくバランスが悪い構成にしているのに、今回は安定して自立する上、後脚の可動もある程度は自由が利く。これはどうしたかって、まあそもそもあんまり大きくないってのがあるんですが、まず頭部と尻尾のバランスを釣り合わせる一方、中を可能な限り空洞にし、ブロックを控えて軽くしてある。胴体も同様で、二方向につけられるパーツとプレートを多用して軽くしてみました。その一方、後脚だけは今まで通りのがっしりした構成にしてみたんです。そうすると、非常に安定して自立できるようになったんですね。
これ、よくよく考えてみると、実際の恐竜の体の構造とよく似ているんです。
三畳紀にはまだまだ負け犬だった恐竜が、ジュラ紀・白亜紀と覇者になっていく。その理由には直立二足歩行とか指行性とか色々あるわけですが、特に際立った身体構造の特徴の一つが、気嚢を活用した身体の軽量化だったんですね。だからこそ、あんな巨大な図体で地上をのし歩くことができていたと。そしてその軽量化を突き詰めた結果、空を飛ぶことさえできるようになったのが、現在に生きる恐竜――鳥なわけなんですが。だから軽いっていうのは、恐竜の身体を作るうえでは、かなり重要な要素だったってことになるわけです。
もちろん僕のスキルでは、まだまだ本当にリアルな恐竜のクリエイトなど、夢のまた夢です。しかし、今のスキルの中で作り上げられる「恐竜」であっても、「どうすれば自立するか」「どうやったらつり合いがとれるか」と、あれこれ試行錯誤して何度となく作り変える――その過程が実は、恐竜の進化(自然選択っていうんでしたっけ?)と同じような過程を経つつあるというのは、とても面白いことなんじゃないかと思うわけです。細かい力学の法則や生物学的な計算の知識があるわけではない。でも、実際に自分の手で作り上げたモデルを立たせるために、そういったものに繋がるであろう色んなことを考え、試みながら作り上げていく。これは、巷に言うLEGOエデュケーションとは違う「学び」なんじゃなかろうか。目の前のおもちゃを通して、世界の仕組みや不思議、興味に繋げていけるんなら、それはそれで素晴らしいことなんじゃないかと、そう思うわけです。
少なくとも4月いっぱいは、あまり外に出ることはできなさそうです。だからこそ、手元のLEGOを使って色んなモデルに挑戦し、色んな興味に気づけることができたら素敵だなと思います。ただ作って完成! ってだけじゃなく、作ってる過程で試みたこと、その中でハッとした瞬間、そういったものに思いを馳せながら、いつも以上にじっくりとクリエイトしてみるのが良いかも知れない。それは、コロナ収束後の安全で多忙な日常を早く早くと待ち焦がれている、今、この時にしかできないことなのかもしれません。