
[登場人物紹介]

ジョニー・サンダー(冒険家ジョーンズ)
おなじみ、我らがヒーロー。世界最高の冒険家
ピピン・リード
ジョーンズを慕う女性カメラマン。冒険の経験は浅くても、元気いっぱい!
キルロイ博士
ジョーンズの良き理解者。太古のロマンを求めて、長年の夢だった冒険の谷へ、ついに足を踏み入れる。
シニスター卿
ジョーンズのライバル。趣味はジョーンズの邪魔と、お宝の強奪。
CHAPTER1

……ここは、レゴシティから遠く離れた、失われた秘境――人呼んで「冒険の谷」。切り立った三つの岩壁で作り上げられるこの巨大な谷は、中生代の地層をそのまま残しているといわれ、昔から多くの研究家・冒険家の心をひきつけてきた。研究家たちは、失われた歴史を、冒険家たちはいまだ眠り続けるロマンを求めて、この地を訪れる。古き伝説を知る者は言う。この崖は、「時間の止まった場所」。時間の流れから外れ、未だに生きた恐竜がここには棲み続けていると。この地に棲む彼こそが、"THE LAST DINOSAURS" ――最後の恐竜なのだ、と。

夢を見続ける冒険家たちは、その最後の恐竜を探して、この地を訪れた。だが、その多くは帰ってこなかった。「冒険の谷」は、魅力的な場所であるとともに、この世に二つとない、危険な場所でもあった。いったい、何人分のガイコツが、この地には転がっていることだろう。夢を追い、ロマンを追い求め、彼らはこの地に眠っている。いつしかこの場所は伝説となり、神聖化され、足を踏み入れるものがない秘境となった。
冒険の谷――「時間の失われた場所」は、悠久の流れに身を任せ、あたたかな太陽の光を浴びて、いつまでも変わることなく、そこに堂々と聳え続けている。--。


そして今、この世に唯一残された太古の神秘に、世界最高の冒険家たちが挑む!
ある明け方。「冒険の谷」はそれまでと変わらぬ、穏やかな朝を迎えようとしていた。
そこへ遠くから「ぽぽぽ」と蒸気の音。谷を流れる川を渡って、誰かがここへ、足を踏み入れようとしている。


現れたは、ジャングル・リバー・ボート。それを動かしているのは――。

ジョーンズ「ここだ……メイプル・ホワイトの本に書いてあった通りだ。間違いない。とうとう、到着したんだ!」
ジョニー・サンダー。人呼んで冒険家ジョーンズ。恐れを知らない世界最高の冒険家。エジプトではキングファラオ三世のピラミッドから、幻の宝石ルビンを発掘し、チベットやインド、中国でマルコ・ポーロの秘宝を見つけたことでも知られている。数々の冒険を終えた今、彼はいよいよ最後の秘境とでも言うべき、この「冒険の谷」に足を踏み入れようとしているのだ!
ジョーンズ「やっと着いたんだ! さあ、ぐずぐずしちゃいられない! 朝寝坊の二人を起こさなきゃな!」

ジョーンズが運転するジャングル・リバー・ボートの後ろには、小型のウッドハウスが繋がっている。このウッドハウスは、下部に取り付けられた丸太によって、水の上に浮くことができるのだ。ジョーンズによって作られた、その名もアドベンチャー・ウッドハウス。彼らにとっては、船であり、家でもある。ともに数々の冒険をくぐりぬけてきた盟友だ。
ジョーンズ「博士! ピピン! 起きるんだ! とうとう着いたんだぜ!」


ウッドハウスに飛び込んで、二人をたたき起すジョーンズ。ベッドの上のキルロイ博士とピピンは寝ぼけ眼。
ピピン「眠い~。もう少し寝かせて、ジョーンズ」
キルロイ博士「ジョーンズ殿、朝ごはんには、まだ早いですぞ」
ジョーンズ「二人とも、寝ぼけてる場合じゃないぜ! 博士、博士がずっと来たがっていた場所に、とうとう着けたんだ!!」
ジョーンズはしぶる二人を無理やり引っ張って、外に連れ出す。
三人の前に広がる光景。それは、朝日を浴びて輝く、太古の世界――。

キルロイ博士「こ、これは……」
ピピン「ここが、冒険の谷……」
キルロイ博士「失われた世界――私がずっと、夢見ていた場所……」
ジョーンズ「そうさ、博士。ここは――博士がずっと夢見てきた場所なんだ。俺たち、やっと辿り着いたんだよ!!」
そのあまりの美しさ、偉大さ、猛々しさを前に、言葉を失う三人。そんな三人をいざなうように、川は静かに流れ、ジャングル・リバー・ボートは、谷の奥深くへと、進んでいくのであった。……。
TO BE CONTINUED