○タイトル
海を破る者
○著者
今村翔吾
○発行所
文藝春秋
○内容
海の向こうに想いを馳せる伊予の暴落御家人である河野家の当主、河野六郎通有が奴隷となっていた2人(令那、繁)と出会い、一族の宿命と押し寄せる元に立ち向かう歴史長編。
○感想
承久の乱から没落した河野家。その後の一族の争いによる深い溝が長年埋まらないまま当主になる。
しかし、通有は2人の奴隷に出会ったことで、異国のものと接するにあたって急激に成長する姿がよい。
令那や繁に出会った河野家人々も次第に変わっていき、一族が一つになる、その時の結束力と一体感からくる力強さを感じられた。
元の襲来は歴史でも知られているが、通有の存在は知らなかった。
襲来前に令那と繁を日本から脱出させるあたりはカッコ良すぎて泣けてくる。
(ほぼ負け戦と思っていたからかもしれないが。実際は野分により日本が勝つ?けど)
そして野分後の道有のとった行動も史実にはないかもしれないが、あってもおかしくはないと感じさせる。
戦だから甘い考えかもしれないが、通有ならそうするよねと納得。
そんなところもカッコイイよね。
でも、海に生きるものは世界が一つであることを本能で感じ取っているのかもしれない。
見た目は違っても心は通じ合える。そんな3人の関係性が素敵である。
何年後かに、通有が令那、繁に逢えるといいなと感じてしまう素晴らしい作品でした。