東海大に再入院して、もうすぐ2ヶ月。
腹痛は少しはマシになったが、無くなりはしなかった。
相変わらず、痛み止めの点滴が無ければ、とても我慢できない痛みに苦しんでいた。
「これでダメなら内科的にはお手上げです。緊急外科手術で大腸全摘出に踏み切るしかない。その場合は外科と調整に入ります。」
とまで主治医に言われ、
遂に使用に踏み切った"最終兵器"免疫抑制剤プログラフも使い始めて、はや2週間が経過し、これまでの治療効果を確認するため、2度目の大腸鏡検査を行うこととなった。
この結果次第で、内科的治療を継続するか否かが判断される。
東海大に再入院して以来、最大の山場であった。
■第2回大腸鏡検査の診断結果
検査画像を見せてもらった私は非常に驚いた。
素人目には前回より、よっぽど酷かった。
大腸内は真っ赤になっていて、あちこちに"おでき"のような腫れ物(潰瘍)が見える。
これは腹が痛いはずだ。
私の大腸内は、もうメチャクチャになっていた。
そんな私の驚きをよそに、主治医のS先生はいつになくドヤ顔で、自信に満ちあふれていた。
「今までの治療がいまいち効きが悪かった理由がようやくわかったんですよ。」
とのことだった。
その原因とは
ステロイドを投与し続けたせいで、サイトメガロというウイルスに感染していたことが判明した、とのことだった。
サイトメガロウイルスによる炎症も、潰瘍性大腸炎と同じ様な症状を示すというのだ。
大腸鏡による内視では、ほとんど見分けがつかないという。
「最近、難治性の潰瘍性大腸炎でサイトメガロが原因であった例がよく見られるので、注意はしていました。」
とS先生は続けた。
また私には酷い炎症を示しているように見える検査画像も、S先生が言うには、
「前回と違って、大腸全体の血色が良くなって、潰瘍以外の部分では粘膜が再生している。見た目は酷いが、明らかに快方に向かっている。」
とのことだった。
そして、
「これであれば内科的治療で必ず緩解できます。今回、外科手術は必要ありません。」
とS先生は断言した。
同じ画像を見ても医師と素人では、ここまで見解が変わるものなのかと衝撃を受けた。
そしてサイトメガロを叩く、ということで治療方針が決まったのだった。
「今回、外科手術は必要ありません。」というS先生の力強いお言葉に、私は嬉しくて、気がついたら涙があふれ、そのまま泣き出してしまった。
(退院したらゆっくり体力を回復して、それから外科手術を受けよう。)
私は改めてS先生に「退院後、体力が回復し次第、外科手術での大腸全摘を考えている。」旨を相談し、
この道では日本で3本の指に入るという横浜市民病院のS先生を紹介して頂いたのである。
■ステロイドの使い過ぎ?
ここでステロイドの使いすぎと書いたが、S先生は非常に慎重にステロイドを投与してくれていたことを強調しておきたい。
S先生は私の過去のステロイド使用歴まで、きちんと把握していた。
当然、サイトメガロウイルス感染の危険性をも認識して、その検査も常に行ってきたのである。
これまで、その検査結果はいつもネガティブだったが、今回初めてポジティブになった、ということであった。
サイトメガロは私の大腸内で活動してはいたものの、その活動の痕跡は検査の閾値を超えていなかったのだ。
ある程度のPHがないと、リトマス紙の色が変わらないのと同じ理屈である。
そして潰瘍性大腸炎の場合、ステロイド無しでは治療は進まない。
副作用があると分かっていてもステロイドは使わざるを得ないのだ。
それが患者に突き付けられた現実なのである。
(次回は最終話です。⇒リンク
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