緊急事態宣言中は旅行にも飲みにも行けませんが、その分前から気になっていた練馬区石神井台にあるたつの湯に車で行くことにしました。
住宅街の中の狭い一方通行の道を進むと、急に開けた場所があったら、そこにたつの湯はありました。
東京都浴場組合のホームページの表紙や数々のメディアを飾ったこともある、堂々たる構えです。
去年の2-3月放送のNHK Eテレ「趣味どきっ!銭湯」の第1話にも登場し、テキストにも出てます。
(煙突がページの間に隠れてます)
暗くなってきましたが、開けた空に伸び上がる屋号入りの煙突がいい感じです。この建物後方のド真ん中に煙突がスッと伸び上がるシンメトリーな姿は、美しさすら感じます。こんな煙突と建物とのバランスの美しさはめったにあるものじゃありません!
さすが「とっておきの風景〜練馬区地域景観資源」に指定・登録されているだけあります。
建物脇には廃材が沢山!
薪で沸かしているようです。
入口に戻り、暖簾をくぐると謎の人形がお出迎え。
なんだろう??
と思いながら、横の衝立を見ると…
パンダ湯??
これは「パンダ銭湯」という絵本を題材に、その出版社と銭湯の入浴剤メーカーがコラボした企画で、たつの湯ではこの日が最終日でした。
どんなお湯だろう??
とにかく入ります。
扉を開ければ、意外にも番台でした。
番台に座るご主人によると、お客さんの中には入浴中に調子を崩される方がいて、それを見つけるのは番台ならではとのこと。
ご主人から結構色々お話しを伺うことが出来ましたが、中でも興味深かったのが、落語家の故立川談志師匠がよく通われていたという話でした。
「銭湯は裏切らない」
これは師匠が時々色紙に書いていたそうで、どんな時にも間違いなく快適さを提供してくれる場所、という意味だそうです。
確かにそうかもしれません。
ご主人は談志師匠が来られても、他のお客さんと分け隔てなく接していたそうです。それが談志師匠にとっても心地良かったのかもしれないですね。
ゆっくり浸かってって
ご主人に温かい声を掛けて頂き、もう既に温まった気分で浴場に向かいます。
扉を開けると…
お〜!
浴場に入ると目の前には、どアップの富士山のペンキ絵がありました。こんな富士山に寄った絵は珍しいのではないかと思います。
ちなみに女湯には赤富士だそうで、この男湯の雪の富士との対比はなかなか見事です。ただ、もしかしたら今年書き換えをされるようなので、この富士山を見られるのも残りわずかかもしれません。
(ペンキ絵もテキストにも出てます)
後で女将さんにお聞きしたら、作は中島盛夫絵師によるもので、この富士山はご主人のリクエストによるものだそうです。
浴場内は潔いくらいシンプルで、正面のペンキ絵の前には大きく湯船が二つ。ここが今日の薬湯のパンダ湯です。
パンダ湯とは
「笹の香りのする黄緑色のお湯に、お肌に嬉しい3つの潤い成分(くまざさエキス、どくだみエキス、びわ葉エキス)が配合。やさしい香りに包まれながら温浴効果を高めることで身体をスッキリと整えます」とのこと。
(入泉証明書カードを貰いました!)
ご主人によれば、パンダ銭湯の絵本のモデルは実はこちらのたつの湯だそうです。
そんなパンダ湯に浸かりながら富士山を眺めつつ、女湯との壁には錦帯橋のタイル絵もあり、双方を眺めながら入れば、目から体からリラックスしちゃいます。
と、突然奥の湯船横の扉が開いて、ハダカの小学校低学年と思しきの男の子兄弟二人が入って来ました。どうやらこちらたつの湯の子どもさんたちのようです。兄弟仲良く、慣れた動きでサッと体を洗って湯船に浸かって、また奥の扉に消えていきました。
何かいいよなぁ
こんな風に、銭湯が日常となって育った子どもは、いつかはまた銭湯に戻って来るのでしょう。というか、どちらかがこのたつの湯の後を継いでくれるといいですよね!
談志師匠も愛した、たつの湯
石神井の空に広がる堂々とした構えの銭湯を、
お客さんを大切に思う分け隔てない心意気で
これからも守り続けて欲しいと思いました。
◾️フロント→ 9点 ご主人も女将さんもフレンドリーで、色々教えて頂きました。
◾️ロッカー→ 8点 広々清潔感があります。
◾️お風呂→ 7点 バリエーションは一つのみ。でも薪のお湯が柔らかい熱さで芯から温まります。
◾️ロビー→ 8点 畳敷きのベンチや庭もあります。
◾️備品→シャンプー・ボディソープなし
◾️ポイント→ 実は色々スゴイ有名銭湯です。
◾️スタンプ→ 文字型 珍しい丸型。ちょっと会社のゴム印ぽいかな。
(日付?なんだろう…)
なお、せんべろ探訪はお休みです。
緊急事態宣言が解除され、
早く普通に飲みに行けるようになりたいな。