本日レディースデーにつき1100円なので、話題の映画、新海監督の「君の名は。」を見てきました。

夜7時10分からの回だったんですが、席はほとんど満杯、指定席の所もほぼ人が入っていて、シン・ゴジラよりも席の占有率は高いかも。9割以上は埋まってたんではなかろうか? そしてやっぱりプログラムは売り切れ。 プログラムが売り切れるような映画は、見て損はないと思うのーと、見る前から期待はけっこう高まったのでした、アニメなのに!

気に入った点、1番目。上映時間が短い。 夜19時半から本上映が始まって、終わったのは21時15分位。正味 1時間45分。昔の映画みたいだーこの長さだと、最近の長編映画のように、だらだらと話が引き伸ばされないで、テキパキサクサク進んでくれるので、見てて小気味が良い。 テンポは大事だと思うのよ。 また、この長さだと疲れないからいい。

2番目。 色がいい!動きもいい!空の描き方に定評があるって聞いたのだけど、まさしくその通り。風景そのものもとても綺麗ー空の青さ、空気の温度までが伝わってくるような。透明な美しさ。何とも言えない、空気の肌触りを感じました。

さてここから少しネタバレです。

お話は、よくある男女入れ替わりものに タイムスリップのバイアスがかかって、きたる天災を回避!というもの。 漫画やライトノベルで、何度も使われたシチュエーションなんだけど、不思議と新鮮な気分がするのは、都会へ憧れを持つ少女の情感が綺麗に描写されているからかもしれない。そして都会の少年が、 飛騨の美しい自然に感動するシーンが丁寧に描かれて、感情移入が起きるからかもしれない。

テロも病気も社会不安もない世界で、たんたんと日々が過ぎるのだけど、隕石墜落というクライマックスを境に全ての記憶がリセットされてしまう。でも、思い出は心に残りますー名作「時をかける少女」でヒロインが記憶は消されても思い出は残る、というシーンが重なりましたね。もしかしなくても、意識的に重ねてるのかもしれない。忘れたくなくて覚えておこうとするのだけれど、忘れてないと何度も口に出して叫ぶのだけど、その瞬間は思い出せるのに、次の瞬間に 忘れてしまって思い出せない、その切ない気分が何とも言えません。

君の名は、というのは往年の名作すれ違いラジオドラマと同じで、二人の男女が橋の上でスレ違うのと、二人の少年少女が時空を超えて場所を超えてすれ違うところにかぶせてあるところとか、なかなか乙なことするなぁって感じられました(わかんない人も多かろう)。

個人的には、中学高校の頃に通い慣れた代々木駅の、黄色い総武線(中央線)各駅停車と、黄緑色の山手線とが1つの狭っちいホームですれ違うという、大事なシーンで登場してて、思い出深く、楽しんで見ました。中野行きと原宿渋谷方面行きだけが1つのホームにあって、同じ方向に走るんです。乗客同士顔の表情まで見えるくらい近くを並んで走行するの。渋谷へ行く時は代々木で乗り換えてたんです。ああ、懐かし。四ッ谷駅のとこも千駄ヶ谷のとこもよく描きこまれてた♪

実写じゃとても実行できない、アニメだからこそ再現できたシーンがいくつもあって、これが見所♪アメリカ的CGとは違う、日本的表現が隅々までちりばめられてます。

欧米はテロの恐怖ですが、日本は天災が恐怖なわけで、地震津浪台風と、予防できないがために何とかならんかーと思うのはみんな心に持ってるでしょう。そういうのがリアリティーにつながるのかもしれない。

まあベタほめなんですけど、一つ物足りないと言えば、時間配分うまく作ってあるわりに、災害から人々を救うために避難させるとこ(町長が強権発動して避難させるんですけど)、そのくだりが端折られてるので、ちょっとご都合主義と言うか、アニメだからいいよねっていう風に読めて惜しかった。 時間あるのだからもうひと踏ん張りしてほしかった。 そうしたらさらに深みが増したと思うんだけれど。 終盤で、半日ほど時間が巻き戻ってしまうところも、ご都合主義と言えばご都合主義。

ちょっと気になるところ。主人公2人は、どちらも母親が死別だったり離別だったりでいないんですが、これは何か理由があるのだろうか?

入れ替わった主人公2人が、スマホの日記アプリやSNSでやり取りするのがいかにも現代的。

さて、この映画は海外ではどう受け止められるのだろう。。。シン・ゴジラは日本では大成功だけど、海外では不評で打ちきり続出だもんなぁ。