その訃報を知ったのは、容子さんからのメール。普段、勤務時間はメールしない人なので、緊急事態?ある意味でそうだったかも。何せ、45歳以上の中国人にとって、高倉健さんは憧れのヒーローなのである。

中国では文革で一切の学術的、芸術的、文化的なものは否定されまくっていたので、人々は娯楽に飢えてました。でも文革は終わっても、そうそう楽しめる娯楽が出てこない。そんな中、1979年くらいに中国でスクリーンにかかった「君よ憤怒の河を渉れ」は、初の外国映画だった上、サスペンスにアクションに恋愛ありとエンターテイメントの王道。それまでのつまんないイデオロギー映画しかなかった中国では凄い人気となりました。中国の半分の人が観た、と一説にはありますが、容子さんによれば上海ではほとんどの青少年と大人が観た、というくらいの人気だったそうです。容子さんも3回観たって。ハラハラドキドキのサスペンスアクションドラマ、というものを初めて知ったそうです。実生活がハラハラだったのがやっと落ち着いたころだったか。そりゃねぇ、原作が西村寿行だもんねー劇画のような小説といっていいのか、今でいうならラノベともいえるかも。

検事が謀略に陥れられて逃げる、熊に襲われる、美女が馬で新宿を爆走、と、エンターテイメント満載。そういうのを、容子さん世代は観たことがなかった(戦前は色々ありましたよ)んだそう。公開当時、健さんのヘアスタイルを真似た男性が街中で見られたとか。角刈りが憧れのヘアスタイルに♪ローマの休日のヘップバーンカットを真似た1950年代の日本女性のようだ。。。

健さんは、撮影の休憩時間でも椅子に座らないと有名だけど、中国での撮影時にもそうだったとか。驚いたのは中国の共演者やスタッフ。中国の有名俳優は神様のように雲の上の人。だから、ふんぞりかえってたり、普通とは違うのよという態度をするのが中国の普通。それが健さんは、休憩時に座らないで立ったまま!!仰天したらしい。現地エキストラにも優しく接する(歯牙にもかけないのが普通)。そういう健さんの人間性を大変尊敬したらしい。以前のチャン・イーモウ監督のインタビューにそんな感じの記事がありました。

健さんに合掌