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写真は昨日の朝日新聞の夕刊から。66年ぶりにお目見えした、歌麿最晩年の傑作「深川の雪」です。

実は、これ見たさに箱根の小涌園に泊まりがけ温泉旅行へ行ってきました。温泉がサブで、深川の雪がメインです。

箱根の岡田美術館で6月末までの展示です。幅3.4m高さ2mの掛け軸で肉筆画。込み入った室内に、27人の芸者や遊女が細かく微妙な間合いで配置され、そのすごさは言葉でいえません。感動というか、よくぞ日本に帰ってきたなーと感激に震えるってこういうこと?と思いました。色的には辰巳芸者だから「吉原の花」(米美術館にある)より地味。江戸の粋は地味な色なんですよ、そして辰巳芸者はきっぷがよい。大江戸神仙伝という小説のいな吉姐さんが、真冬でも素足、白塗りしない薄化粧、という出で立ちでした。なお、深川が辰巳方面だから辰巳と呼ぶのであって、現在の辰巳とは違います。駅でいうなら東西線や大江戸線の門前仲町。

この絵の構図が素晴らしい。登場人物全ての着物の柄や長襦袢や髪型や飾りまで事細かに違う。見事です。朝日新聞の画像ではくすんだエンジ色に見えますが、長襦袢は紅でもっとあざやかできれいです。無地にみえる着物もめくら縞です。肉筆画の現物ならばでの楽しみとして、あちこち角度変えてみるのが私の癖なんですが、髪型に細かい筋が!そう、髪の毛の流れにそって、黒髪すべてに別の黒ですじが入ってるのです。これ、コピーじゃ多分見えないよね。

品川の月、吉原の花、深川の雪の順番で描かれたようですが、構図、筆、全てで深川の雪が素晴らしい気がしました。特筆すべきは和紙の大きさ。横3.4mもあるのに、二枚はぎ・・・・そんなに大きな紙をすけたこともびっくりです。

岡田美術館は2013年10月オープンの新しい美術館で、パチンコ王として名高い岡田氏のコレクションのようです。岡田氏は米カジノ大手のウィン・リゾーツに出資し、カジノ事業も手広く展開(ウィン・リゾーツとは現在大喧嘩中で訴訟中)、カジノ王にもなるのかな?岡田美術館の収集品はここ十数年のもののようですが、その内容は濃いです。陶磁器の収集がものすごい・・・・縄文時代から始まって、中国からの本物の天目茶碗、景徳鎮、唐三彩、青磁や白磁の数々。12世紀頃の朝鮮の繊細な象眼された磁器の数々。日本では尾形乾山が一杯。ここでじっくり見ちゃって、深川の雪を心行くまで堪能してたら、他のを観る時間が足らない!