「半沢直樹」の視聴率すごいなーかくいう私もみた一人。もともと原作を先に読んでいるので、ストーリーも結末も知っていたけど、ドラマのほうが面白かった。これは、脚本と演出と俳優の実力?

堺さんは、塚原卜伝演じた時代劇では、ちっともよくなかったのに、半沢では目が光ってたなー目力?

ストーリー運びはリアルではないので、銀行関係者はつまんないかも。作者池井戸氏が週刊誌上で触れていたように、経済小説ではないので要注意。池田信夫氏はblogでなんで面白いという人がいるのかわからん、と言ってたが、ラスト二回分は私は面白かった。個人的にいえば、金融ネタのファンタジーというか?エンターテイメントとして面白かったのかな。。それは何故だろう?ちょっと自問してみた。

まずタイトル。「おれたちバブル~」ではなく、半沢直樹という個人名にしたこと。これで、バブル入社世代以外も共感しやすいのではないかと思う。理不尽さに立ち向かうヒーローに自己投影しやすい。俺は正しい事やってるのに(実際に正しいかはおいといて)なんでこんな目にあうんだ、的な感覚を持っていたら、このドラマは面白く感じられるだろう。

世の中、現状にしんぼうしてる人が結構たくさんいるんだろう。「やられたらやり返す、倍返しだ!」なんて、実際にはやれるもんじゃない。やったら、職を失う可能性がある。それを代わりに言ってくれるから、スカっとしたような気分になるのではないかしらん。そういうのが、半沢直樹というヒーローに重ねてみたのではないか・・・・なんてね。

アベノミクスといっても実感湧いてる人口はそんなに多くはなさそうだし、来年の消費税アップを考えると不安で、出口の見えない鬱憤は世間中に溜まってる気がする。秋から厚生年金もあがるし!可処分所得はこの一年で月5000円以上減ったよ、私。

こっからは、まったくの個人的感想ですが、舞台が銀行で、半沢と敵対する悪役が、悪役らしくて、銀行員なんて上から目線の輩はどうにも鼻についてしようがない、けど半沢は銀行員だけど、そんな鼻につくやからをコテンパンにするので、気持ちいい。

私は、池井戸氏はこの一連のシリーズで銀行つーものに復讐してるような気がした。最終回でいみじくも半沢が言ったように「銀行員なんてなるもんじゃないよ、ノルマばっかりでさ・・・・しくじると(うろ覚えです)出向だし」とあるように、この小説もドラマからも、メガバンクの行員ってエリートな層のはずなのに、銀行って嫌なとこみたいな感じがする。銀行員になりたい気分にならない。作者はメガバンクM銀行出身(ほとんどMの頭文字だけど)。7年間くらい在籍してたようだけど、ちょうど入ったのがバブルのころ。そのせいか、ドラマ上の銀行の案件も、なんか単純で、バブル時の雰囲気があった。今の銀行ってもっと複雑だしねぇ。

リアルじゃない、という点では、金融庁の検査は架空のものです、というキャプションが出てて笑えた。そう、実際の金融庁の検査する人は、笑いません、能面のような方々でした、男女とも。表情がないのだ、これだけで怖い。そして、金融庁検査人は敵などではありません、絶対的存在で、刃向かうなんてとんでもない!検査先の会議室にたてこもり、お昼は自分達で用意しており、お湯しか要求しない徹底ぶりで、検査先との接触を断っていました。接触するのは、資料が足りない時・・・・・なかったら見つかるまで要求し続けます。事務的に淡々と、しかしいつまでも・・・・資料の疎開はありましたよ、たしかに!女子社員のロッカールームに隠してたら、見つけられて罰則くらった所があったので、自宅に隠したけど、そうするとツジツマ合わないので、調べるから寄越せと続けるわけです。ブルーシートなんて一発でばれるわ。

リアルだったのは最後。検査に活躍し、大和田常務の不正を正した半沢、2階級特進で部長になるも、銀行系証券子会社へ出向。そう、正しいことしても、疎まれるのがこの世の中。大和田を土下座させたのが、頭取の序列意識を刺激してしまったのか。いや、ラスボスは大和田常務じゃなくって、頭取だった?それに合併を繰り返した銀行内の派閥掌握には大和田が必要という論理。ほんと、メガバンクの内部って権力争いばっかり。

さて、池井戸氏もやっぱり元銀行員、上から目線が・・・・・銀行系証券子会社に出向が左遷扱い・・・・まあ、そうなんだろうね。実際、系列の証券会社に来る銀行からの出向者は、ふてくされてる人、いばりちらす人、等など、煙たい存在だ。新刊ロスジェネ~で、半沢も煙たがられる。そして実際には、仲間意識なんて芽生えません、理由は銀行員のお給料がとっても高いから。出向から証券会社に転籍になっても、たいてい役員待遇。100人に一人の割合で役員がいたりするけど、かなりの割合が銀行から落ちてきた人だもんねー

大和田常務役の香川照之、あんなに悪人顔だったかなーあれじゃ銀行員というより消費者金融みたいだ。

以上、私の半沢感想でした。続編を期待させる、最後の堺の燃える目がいいなあ。