妻に言えない秘密
水洗トイレを詰まらせたこと、一度や二度、皆あると思う。
オレはそれをサイパンのホテルでやっちまった・・・。
いやぁ~あん時は焦った。
備え付けのゴム製のパカパカ?ズコズコ?キューポン?
ぱっこんぱっこん?なんぞありゃしない。
(正式名称は「吸水カップ」というらしい。アニメの
「あたしンち」でそう言っていた。)
まず考えたのはそれを英語で何て言うんだ?ってこと。
大体、英単語を並べての英会話のオレにとって、
かなりハードルが高い。
唯一出てきたのは、バキュームカップ。
今の若い人は見たことないと思われるバキュームカー
から考えたのだが、果たして通じるのか?
で、声にしてみる。
Vacuum-cup please.
う~ん、何か違うような・・・
(帰国後に調べたら、「vacuum」は「真空」の意味じゃん。
絶対に通じやしない・・・)
数分後、少し冷静になったオレは、ハタと思った。
そもそも「吸水カップ」なるものが、サイパンに、欧米に
存在するものなのだろうか?と。
水洗トイレは欧米の文化だろうが、「吸水カップ」という
名称がいかにも日本的だ。欧米に存在しない物を
英単語並べて説明しても通じる訳がない。
一生懸命ばっこんばっこんとジェスチャーしても
変な日本人としか思われない。
(ジェスチャーしている姿を想像しただけでも恥ずかしい)
ということは、トイレを詰まらせたことを伝え、欧米のやり方で
対応してもらうのが問題解決への近道なのではないか・・・。
で、次に考えたのは、「トイレを詰まらせた」という英語。
I destroyed the rest room.
これだと、警備員やフロント係が血相変えて飛んで来そうだ。
壊したんじゃなく、詰まらせたんだし。
で、「destroy」に代わる英単語が出てこない。
詰まる、詰まる、詰まる・・・
(英単語が)出てこない。
オレは中学の時の英語の先生、藤本と堀川を恨んだ。
使える英語を教えろよ・・・と。
(ま、こんな英語が例え教科書に載っていても
真剣に聞いてないと思うが・・・)
そして数分後、オレは全ての思考回路を止めた。
「ど~せ、オレのウ○コだ」と右手を便器に突っ込み、
詰まったペーパーを手で取り除き、一気に問題を解決した。
(こんなこと、色々考えてたんじゃ出来やしない)
そして、しっかりと念入りに手を洗ったのは言うまでもない。
あれから数年が経った。
今になっても便器奥に詰まったぶよぶよのペーパーの
感触が忘れられないから、まだ時効じゃないんだろう。
ということで、今でも妻に話してない。
もしかしたら、一生言えない話かも知れない・・・。