「人間的」    作詞: lefthand        空気



俺らしさなんて  くだらないガラクタ


どこかで吹聴された 情報と同じで  雑踏に紛れてる


澱んだ空気に充血する  吹き荒れる風は輪廻のよう


君がくれた雪の結晶  握り締めても 輝き続けるのは失われたものだけ



街角で冬の匂い  白い息


空が創り上げる  人間が壊す


その狭間で 中性を保っている


新たなストーリーが動き出す



形あるものすべて  空き缶のように捨てられてゆく


追い求める姿だけが  美しさなら  


虚無を描き続ける


いつか風になる




空港の待合いロビー  すれ違いは人混みに流されて


触れ合った指先  今は知らない男の腕の中に


硬いタイルに張り巡らされた  追憶は途切れる


白銀の世界が点滅しながらフラッシュバックする



岐路の歩道  唇を噛み締めてる


噴出す血が 生きてる唯一の証


自分らしさの無い  弁証法を模索してる


形あるものすべて  手に入れたなら


強欲が摘み取られる  真空管が存在する

生命を宿す

いつか空気になる



乾いた風が 蓮の葉を揺らす


澄みきった空


夕映えにリンクした  7色の夢を観てる



パーソナリティが落書きを残す


自由がエアパックされる  不変の現実



汚れても 行き場を失っても  提供し続ける


いつか風になる




「証人喚問」



夕刊の速報、紙面を飾る男 裁かれて人生棒に振る


ひたすらマネーに目がねぇ Life is ビューティフル


豊かだったはずの衣・食・住


だが今や穢れ穢れて、汚職中


ネクタイ引き締めど、杭が歪んでる


通勤皆勤賞、心の中は電車でキセル


まだ夢見がち、あっぱれ袴着てる



即席ローマの道 そんなもんあんのかよ


態度と言葉だけ常軌、遺憾の


逆ギレ、てな感じの続き、舞台は証人喚問



裁かれて当然 騒然とする住民


窮地 に追い込まれ あぶく銭のユーザー


建てては壊す巨大ブルドーザー


しかし、その実態は裏工作


「格安物件ありますぅ~!」


価格破壊、値段はお手ごろ、言うなればスーパーの虹鱒


そりゃ住民、涙も滲みます


感嘆に包まれて、2度と戻らない生活


事態を軽く見る、腰の重い警察


召喚の前に


証拠隠滅されんぞ、腕組みする社会のアイロニー



密告されても当の本人、流し目


責任とれねーならシネ


暴露するだけ正直かも


だが今となっては話題性だけの証人喚問



せこいマネして誰が浮かばれる?


蔑んだ目で真相を穿ってる


証人喚問、涙溜めて放つセリフは確かに正気かも


果てに夢砕かれる 建設的どころか、これっぽっちもねぇ微塵も




自分とは違う文体とか感受性を読み漁るのは、


結構面白いですね。


で、yahoo!文学賞 をとりあえず読んでたんだけど、


みんな同じレベルだったってのが率直な感想です。



読み手と書き手で決定的に違うのは、


いかに「感情移入してるか」だと思う。


それがふとした瞬間に互いにリンクする時があって。



共鳴した時に、「文」だけじゃない「心の通った異物」が


音を立てて混ざり合うんですよね。



好き、という言葉だけで片付けたくはないけど、


きっと人を文章を「好き」になれる部分があるんだと思う。



好きから好きへと伝播し、派生し、


たった1つの表現が、もはや誰のものでもない文明となって。



そういう意味でも「個性は重要視されない」のかもなって。


個が強いってことは、癖が強いってのと意味を同じにする。



癖が強い、強烈天然パーマ(笑)は、ちりちりになって


燃焼され削りとられてゆく。



うーん、だから文章はやっぱり客観なんですよね。


客観がない読み物は感情移入できない。



で、yahoo!文学賞 に残った5作品の話に戻したいんですけど。


あれだけ均等なレベルを揃えたわけだから、


「誰が大賞とか決めずに、5人でリレー小説を書けば」


もっと話題になるんじゃないのかなって。



それは1つの案に過ぎないけど、あのレベルでリレーを書くと


なるとみんな本気になるでしょ?


そうそう、マジ。



本気こそ、人間が現れて面白いんですよ。



大賞なんて半歩程度の差なんだし。


自分が審査員なら、最初から企画を練ってもっと世間が


興味を持つように仕向けると思うんだけど・・。



それも「文学の柵」なんでしょうかね。その先は、自分にはわかんないっす。



今回、yahooさんには読者として、書き手としてお世話に


なりました。この場を借りて、感謝したいと思います。



あと、加えて1つ。


応募した自分の3作品を載せようと思うんですけど、


どなたか、暇人か(笑)、心優しい女性がいれば読んでってください。



なんでレフトハンドが小説書いてんのかって?


今まで小説に助けられたし、文章表現が好きだからじゃないですか。



根っからの「好き」なんですよ(苦笑)


あー、一応、感想文を短的に残しますんで、


良かったら一読してってもらえれば(但し、毒は吐きます)

↓↓↓


①夢の演出家


・かぎかっこが多い

・小説というよりは、会話文

・いい意味で普通。悪い意味で普通。


②キヨコの成分


・明日ってテーマから遠い

・すごいのは作家よりもキヨコ

・代弁者


③アシタ


・書き手が若くて、鋭さもある

・自己完結タイプ

・俗物っぽい


④トマト


・アシタでもトマトの話が出てたから、思わず続編かと思った

・文章がカタくて疲れる

・真面目な人


⑤バイバイ、かまどうま


・タイトルが嫌い

・育ちの悪さが目立つ

・貧困が、人間臭い文章にしてる

・でも、これが1番好き


http://bungakushou.yahoo.co.jp/




『凍えたエゴ』



「愛は与えるものだよ」


亮は付き合い始めた3つ年下の彼女の肩をぽんと叩く。


彼女は、当初、亮の言っていた言葉がわからずにいた。


与えられる?


「愛は欲しいけどさぁ・・」


彼女は両親から勘当され、バイト先の亮のもとに相談に


行ったことがきっかけで付き合うことになった。



2人が同棲したのも、ちょうど去年の冬からだった。


彼女は凍える寒さの中で、亮のコートのポケットに指を突っ込んだ。


亮は、彼女のどこか寂しそうな表情を見て、


守らずにはいられなかった。



正義感を持って、今まで生きてきたつもりだ。


亮は、それが人生のモットーだったし、実行してきた。


高校の教師によく彼が問題児として映るのは、


彼が1人、正しいことをやっていたからだ。



その他大勢は、見てみない振りをする。そんな世の中に


もどかしさを、亮は1人噛み締めていた。



今年の冬。ニュースで暖冬という報道があった通り、今年に限って


雪は降らなかった。


彼女は、温かい彼の眼差しを好きになる一方だった。


1年以上経ったが、彼女の亮に対するリスペクトと恋愛感情は


積もっていった。



ある日、亮が自宅の部屋に戻ると咄嗟に異変に気がついた。


彼女がいない。


何処にいったかもわからなかった。突然の失踪。


書置きすら見当たらなかった。


長い時間、探したが、結局、亮は彼女を見つける事は


出来なかった。


あれこれと理由を考えては悩んだ。しかし、全くの検討がつかなった。



もしかしら、自分のせいじゃないのか?


そう考えたりもした。だが、彼女を2度と見る事はなかった。



「どうしたんだ?元気ねーじゃん!」


職場仲間の圭が陽気に声を掛けてくる。


亮は暫く沈黙した。どこか遠くを見つめていた。愛は与え続けるもの・・。



言葉足らずだった。あの時の言葉が、彼女の中でいつか


息づいて芽を出す事を願った。


そして、幸せで生きていることも。



亮は今、元のように1人で生活している。


どこかで彼女は、言葉の意味を知る日が訪れると思った。


「愛は与えるもんだよ。与えるから、貰える」と。






「逆算時計」



自宅に戻ると、畳に夕日が差し込んでいた。


東京の喧騒から逃れて、一目散に帰る自分の姿を1人、想像していた。


時間が止まりそうなほど。


スローモーションで流れゆく凡庸。



愛着のある傷だらけのローテーブルに見とれていると、


北海道で過ごした時間が、にわかに滲み出してきた。



もし、世の中で時計を必要としなくなったら、


僕は本物の夕日の姿を見つけるかもしれないと思った。



死が早すぎると、君が言った。



逆算時計が再び、過去を刻み始めた瞬間だった。






モテる男とかいろいろ言うけど、


どれも間違った方向なんすよね。


例えば、中吊り広告だったり、TV・雑誌のタイトルだったり。


「モテる男はここが違う!」とか(笑)


ここって、大した部分じゃねーんじゃんって。



あぁ、騙されてますねぇー。広告が目移りするからと


いってそれに便乗しようだって。


そんなこと言ったら、レフトハンドが何を知ってるんだ!!!


って言われるだろうけど、特に何のひねりもないっすよ。


「モテるってのは、まず相手がいるのが大前提」であって。



で、モテる男ってのは、初めから顔がカッコイイ男なんすよ。


あとは、とてつもなく優しい男。



この2つの選択肢は、俺的には、しょっぱな消えてます(苦笑)


で、何が大事なのかっていうと。


どんくらい好きかって気持ちの重さでしかないんですよ、本人の。



10年粘って、付き合った男友達がいるってのをチラッと話したかも


しんないけど。


それって、オシャレとか、カッコイイをはるかに凌駕してるわけで。



結局、彼がどんだけ、1人の女の子のために頑張ったかなんだと思う。


スタイルとか外見は後にして。



それがないんなら、フラストレーションと劣等感抱えて、自分を磨きながら


1人の子に何度もチャンレンジすることじゃないのかなって。


うーん、それってやっぱりカッコイイいいですよ、男としても。



だから、『どうやったらモテるんですか?』ってカッコ悪い質問はもうやめて、


とことん好きな子を見つけるほうがいいと思う。



結局ダメなパターンなら、なおさら幸せですよ。


だって、そこまで好きになれたなら、ほかの男の何倍も磨かれてるわけだし。



少なくとも、そういう粘るタイプを俺は応援したくなる。


照れ笑いなんか、颯爽とやめて、


好きって言おうよ。



しつこいって言われる??


言われた事もねーくせによ。 うじうじしてるから、ほら、また友達にも


馬鹿にされてる。


5万回(満開)くらいプロポーズする勢い、欲しいよね(笑)



女の子は、実は待ってるんですよ。


待ちそびれて、声掛けられた人にふっと、ついていく。


それを尻軽!と罵れる人間。 悪くないと思う。


それも、男らしさなんじゃないかな。





人と違うことは悪いことじゃないっすよ。


学校では「悪い」とされることは、


必ずしも役に立たないものじゃない。



横並び。


体育座り。


ステレオタイプの校長の長話。


テストの点数で叱る母親。




それを打ち砕くことを


今まで目標にしてきたけど。


今は違う見方が持てるようになってきた。



本当の意味で、自由というか。


重いというか。


鬱積ですよ。



何でも、やっていいですよーって言われて、


すぐに、あれこれし始めることが


出来るのは子供ぐらいじゃないのかなって。



もし、幼少に、それが出来なかった人も


ただ規則に雁字搦めになって


しがみ付いてきた人も。



無一文になったら解かるかもしんない、例えばだけど。


何者でもない人。



ただの素っ裸な人。


荒れた海原。



で、次に何が出来るのかなって。



何かを作れるかってところが、自分なりの


スタートだと思う。



そこから何を見つめるかで


もう規則からはとっくに卒業。



求める、新しい過去。



少なくとも大人になってから、


誰かを眺めながら始めるものじゃない。






「理屈っぽい!!」


前の彼女にそう言われたのを覚えてるんですけど。


でも、世の中の10%くらいは、理屈で説明できるもんだと


思ってるんですよ。



アインシュタインが相対性理論で、四次元空間を定義付けた


ことと、理屈で物を語ることは、基本は同じところにあると思ってます。



エジソンが白熱電球を作ったのだって、「この線とこの線を繋げて・・」


って合理的に考える部分があったはずですよ。理屈がなかったら、


実用的なものにはなり得なかったでしょうね。


彼らの頭には、限りなく合理性があったと思う。



で、残り90%は、『わけのわからないもの』で(笑)


わけのわからないギャグで言うところの、


「鬱祭り」とか、「ノイローゼごっこ」ですよ。



世の中には、説明のしようがない物事が大半だと思ってるんで。


もし、それを紐解いて実用化していけば、1つの発明にもなりうるし、


1家庭に夜の儀式「鬱祭り」が行われる時代が来るかもしんない(笑)



だから、逆説的に言うと、理屈を考えられない人は、


非常識な発想にも恵まれないと思う。



理屈が全てじゃないからって全部、放り投げるんじゃなくて、


育てるっていうか。説明がつくものを温めるっていうか。


そこから、新しいものが生まれるような気がします。



よく作家は、説明が上手い人たちの集合体みたいな


ことを言ってるけど、確かにそうなのかもしんないけど、


でも行き着くところは、『新しい視点の作品』なわけで。



で、人を納得させる部分が、やっぱり理屈じゃないのかなって。



個人的には山田詠美が好きなんですけど、彼女の作品は、


決して新しい視点だけじゃないんですよね。


むしろ、深く読むにつれて、彼女がいかに『合理的な話で説明』を


してるか、読み取れます。



彼女の、恐ろしいほど鋭い感覚が勝ってるからこそ、あえて全面に


出してないんじゃないのかなって。


説明がつかない部分を彼女が持っているからこそ、なし得る作品


ですよね。



この前も、ふと思ったんですけど、ロッククライマーがいるじゃないですか。


近所の道路沿いにあるプレハブみたいな横に、


人工の崖が切り立ってるわけですよ。



で、次に引っ掛ける岩を手探りながら、掴まってよじ登ってる。


でも、あれだって別に横に動いたっていいじゃないですか?



横に移動するのを競ってもいいわけで。何も上を目指さなくても。


それか、その岩に梯子を立てかけて、途中から登るとか(笑)



「お前、ずいぶん、卑怯だな!」って。


だけど、梯子を使う人から見れば、


「こっちのほうが上りやすいよー」って。「梯子検定2級だよ~」って(笑)



ロッククライマーだから、頂上を目指して、最後まで手を使わなきゃ


いけないなんて、固定観念っすもん。



だから、その1つを例にしてとってみても、


合理的な部分から、角度を多少変えて見るってのが、


1番、新しい発見とか発明に近いんじゃないのかなって。



どっかの使えない激安マンションを半端に作るよりか、


1つの合理的な創造物(作品)を作り上げるほうが、


よっぽど難しいっすよね。



でも、その背景には、真剣に人のためを考える愛情と、


合理的な感覚がいっぱい詰まった解説書があるんだと思います。



言うなれば、サクマドロップ飴です(笑)





記者

「今後の日本の未来は、どうなると思われますか?」



レフトハンド


「その前に、オッパイがかゆい!!!あっ、あっ~!」






『美しい裸足』



「2度と来ないでください」


広樹はそう書かれた紙きれを公園で1人、指を震わせながら


何度も読み返している。


冬のベンチは、体を芯まで凍てつかせる。嘆く間もなく、


広樹は半ば興奮状態にあった。


胸が疼き、その場に崩れ落ちそうになった。


ショックで涙も出なかった。


広樹が、恋した女性は至って普通の人だった。周囲の友人は、


彼が何故、そこまで愛したのか解らず、彼を冷たい表情で蔑んだ。


だが、広樹にとって、その手紙は、


彼女が唯一書いた、筆跡であることに変わりはなかった。



広樹は、彼女に好かれたいという想いを人一倍恥じていた。


年頃のせいか、周りの友人は、雑誌の話題で盛り上がったり、


流行のアクセサリーを身に纏い、彼女を作り、デートしている。



彼にとって、羨ましさはあったものの、彼らを真似ようなどと


思う事は、ある意味で、自分らしさを失うことと同じだった。



それ故に、初めて彼女との距離を縮めたいと感じた時、


どうしていいか解らずにいた。



時間が刻一刻と空しく過ぎ去ってゆく。


セーターの裾まで彼の虚無は、行き渡っていた。


考えすぎていたのかもしれない。


彼女を想う気持ちだけは、何もしない時に限って募っていく。



彼は、勇気を振り絞り、彼女を自宅近くの公園に呼び出した。


彼女は、ゆっくりと口を開き、こう言った。


「どうして、私なんかを好きになったの?」


弘樹は、緊張のあまり、言葉も出なかった。


ただ、空は澄み切っていて、冷たい風が頬をすり抜けていた。


「何も言えない人なんだね」と帰り際、


彼女は捨て台詞を言って、その場を後にした。



握り締めた手が汗ばみ、顔がくしゃくしゃになるのが解った。


それでも、1歩も動けず、一言も話せないでいた。


不甲斐ないと思った。こんな事なら、彼女を好きにならなければ


良かった、と後悔と自責に陥った。



それ以来、相変わらず、彼女を諦める気にはなれなかった。


弘樹は、彼女を呼んだ一件で、彼女に対するほとぼりが冷めること


を心底、願っていた。



しかし、気持ちとは裏腹に、ますます彼女の魅力にはまっていった。


彼女に好きと言えれば、少しは楽になれると思った。そして、冬が終わり、


夏になり、季節が無常に過ぎていくことが、いつからか、自分を責め立て


蝕むだけの病と化していた。



彼女と出会い、7年目の冬。


彼女を忘れるためだけに、その間、広樹は絵を描くことに没頭していた。


芸術大学に進学し、デザイナーとしての道を歩む事を決めた。


7年が過ぎて、変わったことと言えば、


彼女も歳をとり、広樹もいい歳になったという事実だけだった。


そんな矢先、彼がいつもの自宅前の公園で


ある光景を見かけた。



彼女がベンチで1人、佇んでいる姿だった。


広樹は、目に飛び込んだ瞬間に、彼女だと解った。


彼は、初め恐怖に慄いたが、暫く遠くから呆然と眺めるにつれ、


声を掛けようと思えてきた。



過去の彼女は、もう広樹が創り上げた幻想に過ぎないのだ。


彼は、落ち葉を踏み歩きながら、


彼女の元へ近づいた。



ベンチの隣にある、ブランコに差し掛かった時、


彼女が彼の姿を捉えた。


彼女は広樹だと解るまでに時間がかかった。



風貌もすっかり落ち着いていて、相変わらず身嗜みを選ばなかった


彼に、ようやく気がついた。


冬だったが、彼は何故か、サンダルを履いていた。


彼女は、少し笑った。



「寒くないの、それ?」


広樹は、彼女の目をはっきりと見た。


そして、自然に呟いていた。


「何処に行くときも、サンダルだけど・・」



彼女は、彼の全く変わらない表情に


落ち着きを取り戻した様子だった。


ゆっくり、広樹は、ベンチの隣に腰をかけ、


話し始めた。


大学のこと、仕事のこと、両親のこと、それに


地元の町のこと。


彼は、自分が彼女を目の前にして、


こんなに流暢に話せるとは思ってなかった。そればかりか、


彼女の顔は綻んだ形を見せ、


笑った時にくっきりと浮き出る眉間の皺までも


冷静に見守っていた。



話が終盤に差し掛かった頃、彼女は立ち上がった。


「私、そろそろ、行かなきゃ・・・」


広樹は、2度と会えない覚悟を決めていた。


すると、自分でも思ってもみない言葉が出てきた。


「俺、ずっと7年間、お前のことが好きだった。付き合ってくれ」



その瞬間、7年の苦悩が公園中に広がり、


全てがモノクロに見えた気がした。


ひらひらと銀杏の葉が、2人の間に落ちている。


まるで、スローモーションのようで、葉が左右に空気に


揺られている風景が見てとれた。


重力のまま。気持ちの趣くまま。



「ありがとう。ごめんね、嬉しいけど、今はそういう気分になれないの」


そう言って、彼女は広樹と反対方向へひるがえった。


そして。


スケートリングで舞うように、くるりと一回転し振り返る。


思い出したかのように彼女は声を張り上げた。


「広樹らしかったよ、さっきの言葉!」



彼女は途端に、出口へと足早に駆ける。


広樹は、その一部始終を呆気らかんと見過ごしていた。


フリースのポケットに手を突っ込む。



2度と来ないでください、


そう彼は呟いてみた。


嘘っぽく輝き続ける言葉が、風に流されるのが解った。