スポーツ特待生制度は必要か | 大学中退者のその後の後

大学中退者のその後の後

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このようなブログを以前、書きました。

スポーツ特待生たちが、大人により利用されていることを問題視しました。

 

そして、最近、日本大学の重量挙げ部の特待生制度において、監督の不正が立件されました。

 

そこで、そもそも特待生制度とは何なのかを考察してみたいと思います。

スポーツ強豪校のしくみ

高校でも大学でも、大会で上位を占めるのは私立です。

それは何故かと言うと、私立は独自の入学選抜方式を取ることが出来るために、学力に寄らずスポーツの実力だけで学生を採ることが出来るからです。

 

それがスポーツ特待生です。

 

そして、特待生にまでは成れなかったような選手も、実力を向上させたり、全国大会に出ることが出来るために、強豪校に集まります。

 

こうしてスポーツ強豪校が出来るわけですが、その目的は何でしょうか?

強豪校に成ると、大会などで優秀な成績を残して、それが報道されて有名に成ります。

 

日本人て、親も子もネームバリューに弱いわけです。

有名校には、入学希望者が殺到、生徒数を増やして、儲けることが出来るわけです。

指導者のうま味

高校にしろ大学にしろ、優秀な選手が居た場合、その進路先から声がかかります。

 

スポーツ強豪校の大学は、スポーツ強豪校の高校から選手を採ろうとします。

企業も、リーグに参加するアマチュアチームでも、プロチームでも、強豪校の優秀選手を欲しがります。

 

そうなると、学生への影響が大きい、指導者に声がかかります。

 

実際にはどんなやり取りがされているのかは、当事者同士しか分かりませんが、指導者側は、それなりのもてなしを受けるのは間違いないです。

 

さらには、入学する特待生を選別する側としても、指導者は重要な立場に居ます。

これも何らかの特権を生んでいるであろうことは、想像に難くないです。

私立校には裏口は無い

公立校には、法に基づいた厳格な入試制度が有り、入試の点数が大きな割合を占めます。

 

それに対し、私立校は独自の入試が可能です。

だからこそ、ほぼ無試験のスポーツ特待生制度が可能なのですが、その特待生を選抜する基準も、勝手に決められます。

 

一時期、芸人の爆笑問題の太田光さんの裏口入学が取りだたされていましたが、入ったのは私立の例の日大です。

 

結局、事実では無かったことが立証されましたが、たとえ親が大学関係者にお金を渡していたとしても、私大なので何らかの理由付けをして無試験で合格させても、何ら問題は有りません。

 

私学は学生に対し、単位を与えて卒業させる過程のみ、法律に定められた基準を順守しなければなりません。

入試に関しては特に法的な規定は有りません。

 

私立校には、実質的に裏口入学は存在しません。

スポーツ特待生は本当に単位を取れているのか

ここまでの話で、お分かりいただけたと思うのですが、スポーツ特待生制度は、一部の人間に、とんでもない利権を与えています。

 

現行法上は今のところ問題では無いとしても、モラル的にとても褒められたものでは無いのは確かです。

 

そして、さらに問題なのが、ほぼ無試験で入学したスポーツ特待生たちが、きちんと勉強も出来ているのかということです。

 

高校も大学も、試験などで最低限の点数を取って規定数の単位を取らないと、卒業は出来ないです。

これは私立校も同様です。

 

特に大学は、一定以上の学力が無ければ、通常は卒業は出来ません。

ほぼ無試験に近い条件で入学したスポーツ特待生たちが、その条件を簡単にはクリア出来そうに無いのは、想像に難くないです。

 

しかし、そのほとんどが無事に卒業していることを見ると、何らかの不正な操作がされているのではと思ってしまいます。

 

スポーツ特待生たちが、学位に足る能力を本当に持っているのか、疑問に思います。

日大重量挙げ部で不正が起きた理由

前述したとおり、スポーツ強豪校には大きな利権が有り、指導者は何らかの心付けを受取っているであろうと思われます。

 

今のところ証拠は無いし、あくまで私立どうしや企業とのやり取りは商行為にあたるので、法的にも問題は有りません。

(ただし、独占禁止法に該当する可能性は有り)

 

しかし、その問題性が明らかになったのが、日大重量挙げ部の顧問の起こした詐欺行為です。

 

具体的に何が有ったかというと、完全無償の条件で迎えた重量挙げ部の特待生から、「1年だけは有償」と騙って、お金を出させてそれを自分のものにしていたのです。

 

なぜそんなことをしたかと言えば、重量挙げの指導者は、上記の特権があまりないからでしょう。

 

球技などは、社会人リーグもプロリーグも有り、スポーツ特待生の卒業生は、そんな社会人リーグに参加する企業から声がかかり、その指導者も利権が大きいと思います。

 

しかし重量挙げは会社で活動に取り組む企業は、ほぼ皆無。

卒業生は一般の就活で就職するしか無く、指導者の利権も有りません。

 

それを不服に思った顧問が、こんな事件を起こしたのでしょう。

スポーツ特待生制度はやめるべき

日大重量挙げ部の問題で露呈した感の有る、スポーツ特待生制度の問題。

 

一部の個人や企業に利権が集中することが、まず大きな問題です。

突き詰めれば、おそらく独占禁止法などにも抵触すると思います。

 

そして何より、スポーツ特待生自身の人生を歪めてしまっています。

スポーツ特待生に成った学生は、おそらくそのほとんどが学力を身につける事無く卒業しています。

 

現役の若いうち、結果を出せているうちは良いですが、現役を引退した時や、結果が出せなくなった時に、酷い目に逢うのです。

 

最初に引用したブログにも書きました。

 

会社勤めの場合だと、会社に残りづらく成り、辞めざるを得ないことも多い。

ずっと競技にのみ取り組んで来て、社会人としては、全くキャリアを築けていない人も多い。

再就職にたいへん苦労します。

 

大学生でも、ケガして現役を継続出来なくなった場合、特待生権限をはく奪されて、中退する場合も多いです。

 

ちなみに、大谷翔平選手の後輩にあたる佐々木麟太郎選手が進学したスタンフォード大学は、文武両道で有名です。

学力も無いとスポーツ推薦は受けられませんし、卒業も出来ないために、スポーツ推薦枠と言えど、しっかりキャリアに結びつきます。

 

日本の私学も見習ってほしいものです。