〔英 Being raised by a narcissist〕
たとえば自己愛の強い親は、以下のような態度で子どもに接する。
・いつも黙っていて、子どもに愛情を示さない。
・子どもに頑張って良い成績を取ってこいと言うが、実際に優秀な成績を納めるとそれを自分の手柄にする。
・子どもに対し、滅多に身体で愛情を表現しない。
・子どもが間違えると、いちいち批判する。
・子どもが怪我をするなど、親にとって不便なことが起きると、同情よりも怒りを見せる。
・兄弟姉妹の間で競わせ、競争を歓迎する。
・子どもに対し残酷な態度を示し、ひどいときは心理的・身体的虐待行為に走る。
・子どもが親に救いを求めているのに助けない。
・頻繁に子どもの成長過程を台無しにし、頭の悪い子だと責める。
・子どもへの期待が高すぎる、あるいは気分にむらがあるため、家族全員がおそるおそる暮らしている。
・親の思いどおりにするために、子どもを脅かす、あるいは子どもの心を操る。
・親は特別で偉いと思っているから、子どもが親に合わせるのが当たり前だと思っている。
・わざと文脈を無視して人の言質を取り、それを振りかざす。
・矛盾に満ちたアドバイスをして、子どもが何も得られない状況を作る。
・親の夢を子どもに託して生きている。
この事例で損なわれる欲求
安全・安心、帰属意識・愛、承認・尊重、自己実現
キャラクターに生じる思い込み
・「人をうまく操るのが愛だよ」
・「やれと言われたことをやらないと愛は得られない」
・「僕なんて出来損ないの人間で、家族のお荷物でしかない」
・「自分のために何かを欲しがるなんて身勝手だ。他人を優先しないとだめだ」
・「自分は欠点だらけの人間で、誰にも愛されない」
・「自分のことを大切だと思ってもらうためには、一番にならなければならない」
・「殴られたくなかったら、まず相手を殴る」
キャラクターが抱く不安
・「人に拒絶されたり、見捨てられたりしたらどうしよう」
・「泣いたり、弱音を吐いたりすると、そこに付け込まれてしまうかもしれない」
・「相手に自分の弱さを見せてしまうから、深い人間関係は苦手だ」
・「親はいつも僕のことを出来が悪いやつだと言っていた。失敗を犯すと、親が正しいことを証明してしまうみたいで嫌だ」
・「ミスや失敗を犯したりすると、罰を与えられるかもしれない」
・「信用する相手を間違って、利用されたらどうしよう」
・「自分の子にも親にされたことを繰り返してしまうかもしれない」
行動基準の変化
・いつも親の気持ちを優先してきたから、自分の気持ちがわからなくなる。
・自分が何をしたいのかがわからないから、人生の方向を決められない。
・大丈夫でないのに、「大丈夫だ」と言ってしまう。
・プレッシャーがかかると特に、人任せにしてしまう傾向が出てくる。
・人との関わりにおいて健全な境界線をどこで引けばいいのかわからない。
・人に脆さを見せたり、自分の気持ちを人に伝えたりすることに慣れていないから、親密な人間関係や信頼関係をうまく築けない。
・人を喜ばせることばかり考えている、あるいは自分に価値があることを感じるには褒め言葉が必要になる。
・何事にも手を抜かず、完璧であろうとする。
・うっとうしいほど人に頼りきりになる傾向が出てくる。
・称賛されたくて目標に向かって突き進んでいるくせに、褒め言葉や賞を受け取るのは気まずくて苦手になる。
・自尊心が低く、どんなに成功しても自分のことを頭が悪くて出来損ないの人間だと思ってしまう。
・親が望むキャリアを選ぶ。
・自分の意見を主張できないため、人に利用される。
・人が求めるものを与えるのが自分の役目だと思ってしまう。
・親から愛されたくて、親が間違っていても、言い繕ってしまう。
・悪いことが起きると、たとえ理不尽でも、自分が悪いと思い込む。
・すぐに自分を問い詰め、何でも自分の責任にしてしまう。
・自分のことをいつも優先するようになる(ナルシスト的行為を自分も繰り返す)。
・苦しみを紛らわすために人をいじめるようになり、やられる前にやるという態度を取る。
・大人になり、自分を苦しめた親とは縁切り状態になる。
・壊れた自尊心を修復して高めていこうと、自分を愛する努力するようになる。
・親に代わって、健全な助言者になってくれる人と関係を築く。
・人に親切にされたり、愛情を示してもらったりすると、感動してしまう。
・他人の求めていることや、人の気持ちに非常に過敏になる。
・自分の気持ちを整理し、考えを表す手段として、日記を書く。
この事例が形作るキャラクターの人格
ポジティブな人格
柔軟、用心深い、分析家、感謝の心がある、大人っぽい、几帳面、従順、注意深い、きちんとしている、勘が鋭い、粘り強い
ネガティブな人格
依存症、防衛的、不正直、だまされやすい、優柔不断、抑制的、不安症、嫉妬深い、手厳しい、操り上手、物質主義、完璧主義
トラウマを悪化させる引き金となる出来事
・どんなに批判が建設的であっても、その言葉に失礼にならないような気遣いが感じられても、批判を受け入れられない。
・あともう少しというところで目標達成を逃す/失敗する/間違いを犯す。
・友人の家族と一緒に、普通の親子の遊びに参加する。
・親から電話がかかってきて、訪問を受ける。
・順位が2番になる(あるいは3番、最下位
・・・・・・)。
トラウマに向き合う/克服する場面
・同じ親に育てられ、同じように苦しんでいる兄弟と話をしようとする。
・自尊心の問題を解決しないと、結婚生活が破綻してしまうことに気付く。
・ピンチに陥り、どんなにプライドが邪魔をしようとも、助けを求めなければならない。
・いつも自分を励ましてくれて、無条件にサポートしてくれる人がいることに喜びを感じる。そして、それは自分の育った家庭では味わえなかった気持ちであることに気付く。
トラウマ類語辞典
(フィルムアート社)