アルチュセールマルクスの思想を読み解くことで、人間の思考は連続的に深められていくのではなく、あるとき急に進化することを突き止めました。

アルチュセールによると、前期のマルクスは、労働者が資本家に搾取され、疎外されている問題をヒューマニズムの観点から見ていました。けれどもある時期からこの問題を資本主義の原理的な問題として科学的に捉えるようになります。

労働者個人の問題を追究していった結果、資本主義の構造的な問題がマルクスの頭の中に生まれたのです。ある問題が、新しい高次元の問題を生むことをアルチュセール認識論的切断と呼びます。

クーンパラダイムシフトによって断続的に科学史は変化すると言いました。アルチュセールは、個人の頭の中でこれと同じ変化が起きると考えたのです。高度な発想は、突然やってきます。そのためには、1つの問題を考え続ける粘り強さが重要です。


続哲学用語図鑑  中国・日本・英米分析哲学編  (プレジデント社)