20世紀は各地で大規模な戦火が巻き起こりました。この混乱によって、新たな価値、倫理を体系づける必要に迫られた西洋哲学は、独自の展開を見せはじめます。
戦後の60年代になると、人間の価値観、視野はますます広がり、他分野の学問の成果を加味した「構造主義」が現れます。続いて、その体系を批判しながら発展した、「生の権力」論のフーコーや、西洋哲学全体を再検討するデリダ、数学の概念を哲学に転用したドゥルーズらの「ポスト構造主義」も登場します。また、80年代以降も、東西冷戦構造やその終結、世界各地の地域紛争、グローバル化による各国の文化の軋轢、インターネットの普及、エイズの世界的流行などを背景に、グローバリゼーションに一石を投じたネグリ、「コミュニケーション論」を唱えたハーバーマス、「共同体主義」を主張するサンデルなどの論者が、多様化する世界の価値観を言語化しようと試みます。その後も、こうした思想や学問の発展に伴い、「思弁的実在論」の代表的論者メイヤスー等の「ポスト・ポスト構造主義」が出現するなど、西洋哲学は進化し続けています。
□ポスト構造主義
60~70年代にフランスで誕生した思想運動の総称。構造概念を用いて社会や文化を分析する「構造主義」を踏まえつつ、それを越える思考の枠組みの形成を試みる運動のこと。
□リゾーム
根茎の意。ドゥルーズとガタリは、従来の秩序だった階層的なツリー(樹木)と対比して、網目状に絡み合った根茎のイメージを用いて現代の思想と文化の状態を説明しようとした。
□コミュタリアニズム
共同体が持つ美徳を重視する考えや主張。「共同体主義」とも訳される。「他者に危害を加えない限りは個人の自由」という「自由主義(リベラリズム)」と一部で対立し、「リベラル・コミュタリアン論争」を巻き起こした。
□公共圏
人々が共通する関心事について語り合う空間(たとえば18世紀のヨーロッパで流行したコーヒーハウスや文芸サロンなど)のこと。ハーバーマスは、この「公共圏」がフランス革命の引き金となったと考える一方で、現代では衰退しつつあると指摘した。
ゼロからはじめる!哲学史見るだけノート
(宝島社)