⚪️両肺の重さ
男性 : 約1060g
女性 : 約930g
肺は、胸腔の大部分を占める1対の半円錐状の器官で、呼吸器の主要部である。心臓が左寄りにあるため、左肺は右肺よりもやや小さい。上端部は鎖骨よりも上方にあり、肺尖とよばれる。下端部は横隔膜にのっており、横隔膜の形に応じてくぼみ、横隔面または肺底とよばれる。左右の肺が向かい合う内側面は縦隔面とよばれ、そのほぼ中央に肺門がある。気管支、肺動脈と肺静脈、気管支動脈と気管支静脈、神経、リンパ管は結合組織によって1つの束(肺根)にまとめられ、肺門から出入りする。心臓と接する縦隔面下部にはくぼみ(心圧痕)ができる。肋骨に接する外側面は肋骨面とよばれ、深い切れ込み(葉間裂)が走っている。右肺は水平裂と斜裂によって上葉・中葉・下葉の3葉に、左肺は斜裂によって上葉・下葉の2葉に分かれる。
肺の表面をおおう滑らかな胸膜(臓側胸膜または肺胸膜)は、肺門で折れ返って胸郭の内面をおおう胸膜(壁側胸膜)になる。2つの胸膜の間の空間を胸膜腔という。
外界から体内に酸素を取り込み、栄養素を燃焼させて細胞の活動に不可欠な化学エネルギーをつくりだし、その際に生じた二酸化炭素を体外に排出するまでの過程を、呼吸という。呼吸は、肺でおこなわれる外呼吸(肺呼吸)と、全身の組織でおこなわれる内呼吸(組織呼吸)に分かれる。外呼吸では肺胞と毛細血管内の血液との間で、内呼吸では組織の細胞と毛細血管内の血液との間で、酸素と二酸化炭素の入れ換えがおこる。この現象をガス交換という。
【血液によるガスの運搬】 体内の酸素は血流にのって肺から全身の組織へ、二酸化炭素は全身の組織から肺へ運ばれる。肺でのガス交換によって酸素を多量にふくんだ血液(動脈血)は、肺静脈によって心臓の左心房へ運ばれ、左心室を経て上行大動脈から全身へ送り出される。組織でのガス交換によって細胞から排出された二酸化炭素を多量にふくんだ血液(静脈血)は、上大静脈と下大静脈に集められて心臓の右心房に運ばれ、右心室を経て肺動脈によって肺へもどされる。
【肺胞でのガス交換】 肺胞は、気管支末端の内腔から外へふくれだす小さな袋状の組織で、呼吸細気管支の壁にはまばらに認められるが、肺胞管や肺胞囊では密集している。肺胞の総数は両肺で約5億個、総表面積は約90㎡といわれる。肺胞の壁はごく薄く、毛細血管におおわれている。肺胞の上皮細胞、基底膜、毛細血管の内皮細胞は血液空気関門とよばれ、この3層を酸素と二酸化炭素が通過する。
ガス交換は、濃度の高いほうから低いほうへと物質が移動する拡散現象によっておこる。吸気によって酸素を取り込んだ肺胞からは酸素が血液中へ移動し、二酸化炭素濃度が高い血液中からは二酸化炭素が肺胞へ移動する。肺胞に出た二酸化炭素は呼気とともに体外へ排出される。
【細胞でのガス交換】 組織の細胞でのガス交換では肺胞の場合とは逆に、酸素は血液中から細胞へ、二酸化炭素は細胞から血液中へ移動する。細胞は酸素を取り込んでアデノシン三リン酸(ATP)をつくりだす。
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