頭と顔の部分を合わせて頭部という。頭部には、思考・感情・行動のもととなる高度な知能活動をいとなむ脳、外界からの刺激をとらえる眼・耳・鼻などの感覚器、呼吸器と消化器のはじまりである鼻腔や口腔などがある。
頭部の骨格は頭蓋とよばれ、脳を収容する脳頭蓋と顔面を形づくる顔面頭蓋に区分される。脳頭蓋の天井は頭蓋冠、床は頭蓋底とよばれ、その間の頭蓋腔に脳が髄膜に包まれて収容されている。頭蓋底には大後頭孔とよばれる孔が開いており、脳のもっとも下位に位置する延髄の下部がここを通過する。脳頭蓋と顔面頭蓋の境の眼窩とよばれるくぼみには眼球と副眼器が収容され、脳頭蓋をつくる側頭骨の内部には内耳・中耳・外耳道が連なり、耳介が外界に張り出している。顔面頭蓋をつくる上顎骨の中央に開く鼻腔は軟骨でできた外鼻におおわれており、上顎骨の下端と下顎骨の上端に並ぶ歯の奥には口腔が広がる。口腔には舌が収容され、大小の唾液腺が開いている。頭部のおもな筋は、浅層の顔面筋(表情筋)と深層の咀嚼筋である。
一般に首とよばれる頸部は、頭部と胸腹部を連絡する重要な通路であり、脊髄や末梢神経、大血管、リンパ管、さらに消化器・呼吸器の管などが通過する。
延髄につづく脊髄は、脊柱の内部に収容されて腰部までのびており、頸部の脊髄は頸髄、頸部の脊柱は頸椎とよばれる。頸椎は頭蓋を下から支え、頭部の運動を可能にしている。脊柱の前には咽頭があり、第6頸椎あたりから食道となる。咽頭の前には喉頭とそれにつづく気管が下がっている。鼻や口から入った空気や飲食物は鼻腔や口腔を通って咽頭に達すると、空気は喉頭から気管へ、飲食物は食道へ向かう。喉頭の内部には声帯があり、喉頭と気管の前から食道のわきまでを甲状腺が取り巻く。頸部は、頭部へ酸素と栄養に富んだ動脈血を運ぶ総頸動脈と、頭部から二酸化炭素と老廃物に満ちた静脈血を心臓へ運ぶ内頸静脈の通路でもある。頸部のおもな筋は、浅層の浅頸筋と深層の深頸筋である。
⚪️頭蓋骨の数 15種類23個
⚪️脳頭蓋の骨の数 6種類8個
⚪️顔面頭蓋の骨の数 9種類15個
【頭蓋縫合】 頭蓋骨の大部分は少量の結合組織によってつながっており、このような連結形式を縫合という。縫合の結合組織は中年期から骨化する。胎児では縫合による連結はゆるやかで、頭蓋泉門とよばれる膜におおわれたすきまがあるため、分娩時には頭蓋骨が重なり合って産道を通りやすくする。
新版からだの地図帳(講談社)