終身雇用が終わったと
騒がれています。
だいじょうぶ、何の心配も要りません。
終身雇用は、最初から少数派なんです。
終身雇用は日本の伝統と
いうイメージが強いと思います。
しかし、戦前日本の転職率は今の3倍ほど
でした。
そもそもの伝統は、必要な人を
雇い、必要でない人は辞めて行くという
ピュアな資本主義だったのです。
腕利きの職人などは、より良い待遇を
求めて次から次へと会社を移って
いったといいます。
その後、戦争遂行時の人出不足と
右肩上がりの経済成長という特殊な
環境下で、終身雇用が生まれたのです。
しかも、終身雇用が維持できたのは
一部の大企業だけです。
普通の中小企業は、昔も今も一生
雇用を保証するなんてとても無理です。
最近出版された社会学者の小熊英二
先生の著書(日本社会のしくみ:講談社現代新書)は
日本の雇用慣行を詳しく分析しています。
その中には、典型的な終身雇用の
恩恵を受けられるのは雇用されて
いる者の26%であるとの記述が
あります(同書P40)
(この本はとても面白いので、ご興味ある方は
ご一読をお勧めします。分厚い本ですが
読みやすい文体なのですいすい読めます。)
雇用されて働いている人のうち
終身雇用の恩恵を受けられるのは
4人に1人だけなんですね。
そして、その大企業でも、入ったら
全員が定年まで勤め続けているか
というとそうでもありません。
私は大学卒業後、終身雇用の典型
のような会社に入りました。
しかし、私の同期や2~3年先輩の
社員の相当数が20代、30代でより良い
給与の会社に転職しています。
まだ平成のはじめのことです。
そして、私の大学時代の同級生も、
新卒で入った大企業に今も勤め
続けているのは半分ほどです。
業界トップ企業(複数)や、
財閥系の企業などに入った者も
転職しています。
2~3回転職している者も珍しく
ありません。
私の世代は、30歳前後でバブルが
はじけています。
それでもこんな感じです。
終身雇用の恩恵を受けられる
全体の4分の1に入っている人も
転職経験者がかなりの数存在すると
推測されます。
終身雇用は最初からなかったと
言っても過言ではありません。
ご安心ください。
終身雇用が終わったと
言ってビックリすることは
ないんです。