おはようございます

占い屋 リーリエ リリー

百合音です

 

 

さて、ゴールデンウィークですね。

置き記事させていただきます。

 

いちおう、娘が

「面白かった。続き、はよ書け」

と言われる程度には、

面白かったようです。

 

初めての方のために、

PART1の、アーカイブを載せておきます。

 
ざっくりとした登場人物紹介
 
井上みひろ
 
(AIアバターの中から、幸薄そうなのをチョイスしました)
主人公 元看護師。 ストーカー男を精神波で廃人にしてしまった過去を持つ。現在は、占い師見習いになるかどうかを模索中
 
日向 夏子 
イラスト提供 あかりさん(ありがとうございました💕)
占い師。通常の人間が認識できないモノが見え、それを祓うというテクニックを持っている。 霊能者とは名乗りたくないらしい。
 
日向 夏生 
イラスト提供 あかりさん ありがとうございました💕
占い師の息子。 警察官だが、母親の仕事関連で、DV被害者の救済が仕事になりつつある
 
穂高 悠李…、こんなヒト(笑)
 
 (2なんだけどナンバリングわからんꉂꉂ(ˊᗜˋ*))
 

「そうさ。 どうせアンタはロクな恋愛なんてできない業をかかえてるんだ。 穂高くらいの人間でないと、まっとうな恋愛なんぞできないだろ?」

 

 夏子先生は、あの嫌ぁな感じのニタニタ顔で、私の目の奥を覗き込む。

 

夏子先生に呼応して、穂高さんが苦笑しながら
 

「でも、なっちゃん。 みひろちゃんは、俺にまったくなびく気配はないね。 どうする?」

 

と、答えた。

 

「おやおや? どんな女でも意のままだとか、さっき豪語してたじゃないか?

 どうするもこうするもないだろう?

こんな地味な女ひとり転がせないで、何が恋愛の教祖だよ」

 

 夏子先生は、さらに辛辣な言葉で穂高さんを叱咤激励する。

 

「もっと、本気出して口説けばいいじゃないか。

 穂高、おまえには無理なのかい? コイツは失恋したてだし、あんがいコロッとおまえになびくかもしれないよ?」

 

「母さん! もういい加減にしろよ~」

 

 夏生さんがあきれ顔で母親を諭し始めた。

 「身も心も疲れ切っている井上さんに、そんな強制見合いみたいなこと。母さんホントに非常識だよ。

 それに穂高にも、ヘンなことをけしかけるなよな。

 井上さんが穂高を好きになるとしても、こんな押しつけがましい感じじゃなくて、自然な成り行きにまかせればいいじゃないか」

 

 諭すように語る夏生さんに、夏子先生と穂高さんは顔を見合わせ、お互い、呆れたような笑顔を浮かべた。

 

 その意味が、私にも痛いくらい理解できて、思わず縮こまる。 この二人には、きっと私の、夏生さんへの恋慕も見えているに違いない。

 

 そんな、身の置きどころのない私の気配を察したのか、意外にも穂高さんが口を開いた。

 

「そうだな。俺も『井上さん』に気に入ってもらえるように頑張るよ。 年上の女性は嫌いじゃないし。 よく見れば可愛いしな」

 

 場の空気を変えるような明るい声でそういうと、すっと右手を差し出した。

 

 「こんな出会いだったけど、これからもよろしくね。 お互い、まずは良きライバルとしてやっていこうじゃないか」

 

 「あ、はい……」

 

 思わずその手を握り返す。 そのひんやりと冷たい手は、まるで陶器を思わせる。きめ細かく、あくまで白い肌。 確かにどんな女性でも、誘惑できそうだな、とは思う。

 

 自由自在に邪蛇を操る『男性』。

 

 性別こそは違えど、あの技術が私に身につくものならば「当たり前のしあわせ」を望める日が、いつかくるかもしれない。 そういう意味では学ぶことが、おおいにあると思う。

 

 ただ、穂高さん自身の人間性や精神性に、あの邪蛇が影響していないはずがない。

 

 どのように打ち解ければいいのか。 どのように振る舞えば、この人を怒らせないで済むだろうか。 あんなに飼い慣らされた邪蛇が、こちらに向かって飛んできたときには、ひとたまりもなく私が壊れるであろうことも想像がつく。

 

 この男性は、ほんとうに危険なひとなのだ-------。 

 

 そんな心を見透かしているかのように穂高さんは、また、慈愛溢れるアルカイックスマイルで私に視線を注いだ。

 

 「いいんだよ。そんなに警戒しなくても。 あくまで力づく、強引な襲いかたはしないからね。

 それに、なっちゃんの愛弟子なら、俺たちは兄妹弟子だろ?」

 

 「え?」

 

「みひろちゃん、さっき言ったじゃないか。俺が『良きライバルとしてやっていこう』っといったら、『はい』ってさ。 今日の目的は、これで達成されたね! なっちゃん」

 

「そうだねぇ。穂高もあんがい、人たらしになってきたじゃないか」

 

 「え?」

 

 私が混乱して、目を白黒させていると、夏生さんもほっとしたように話し出した。

 

「井上さんが、ウチで母と一緒に居てくれるなら、僕の仕事も少しは減りそうです。 ホントにウチの母は、人使いが荒くて困ってたんですよね。 井上さんは、看護師としても優秀だと看護師長さんにも聞いていますから、僕も本当に安心です。 怪我人や病気の人も中にはいますから、そんな方たちを任せられるのも心強いです」

 

 「え~っと、あのぉ……」

 

 しまった! と思ったがもう、後の祭りかもしれない。もう、後の3人はすっかり私が弟子入りしたという前提で話を進めている。 なんだか、どんどん事態がややこしくなってきたような気もするが、他に行くところもない。ならここで、毒食らわば皿まで、頑張ってみるか。

 

 そうして私は、夏子先生の元で、明日から宝龍庵での修行を始めることになったのだった。

 

PART2 終

 

ここまでご愛読くださった皆さま方、ありがとうございました❤