夫は寡黙だ。
知り合ったのは
未だ、お互いに子供だった頃。
いつも、何故か、そこに主人はいた。
寡黙すぎる主人は
一度も「好きだ」とか
「可愛い」とか
「結婚したい」とか
取り敢えず歯が浮くようなことは
一言も発したことがない
記念日。
なにそれ。
うちに記念日なんてあったっけ。
ないね。
確かにないね。
結婚記念日?
いつだっけ。
そういう風に意地悪を言っても
主人は黙って笑っているだけ。
そうやって、何十年もやってきて
癌になって
ドクターに
癌って、ストレスだからね
と、ポジティブになるように言われたことを
主人に伝えた。
結構、わたし、ポジティブな人間だと自負していたんだけどな。
主人に、2か月間にわたる癌の検査を話した。
主人は、黙って聞いてくれていた。
わたしが癌と知った8月の終わりから
死ぬと思ったわたしは
検査結果がでるまでの2週間を
日々、食べ歩きをし
最後の晩餐に付き合えと
友人を誘っては
好き放題に食べ歩いていた
年齢も考えずに。。。
そして、糖尿病と診断された。
腎臓がボロボロとのこと。
造影剤が使えない。
検査ができない。
まずは、糖尿数値を下げないとならないところから
この癌治療は始まった。
抗がん剤も使えない
手術もできない。
糖尿があるとケロイド状態になったり
膿んだり
傷口はつかない
リスクが高い
そして、糖尿との闘いながらの
全身検査が始まる
リンパまで達してしまったし。。。
本当に死ぬんだと思った・・
手術できない
抗がん剤使えない
検査のための造影剤が使えない
あれもこれも使えない
検査ができない・・・
そして、糖尿が少し数値も治まり
いよいよ照射が始まる。
2か月と言う長い間
進行を食い止めることもできずにきたわたしが
やっと、照射が始まる
腔内照射というのをやるらしい。
体の中に機械を入れ
体の中から照射するので
膀胱が焼けたり
腸が溶けたり
白血球が減少し
口内が爛れ
食事もできなくなる可能性も大
大動脈に照射すると
船酔いのようになり
吐いたり・・頭痛になったり・・
説明を聞けば聞く程に
不安や怖さが増幅して
誰がなんと慰めてくれようと
不安は拭えない
案ずるより産むがやすしっていうじゃない?
何をいっているんだ?
そんな風に思ってしまう・・
判っている
大丈夫だって。
人口肛門だっていいじゃん
尿の袋を腰につけていたっていいじゃん
生きているんだもの
本当?
本当にそう思う?
そして、結婚記念日が来た
ストレスを溜めないように
今回、何もなくても
毎年の事だ
わたしは、嫌味を言わずに
我慢しようと思っていた
玄関を入ってきた主人の手に
花束らしきものが・・・
思わず涙・・・
「選んだよ、実がついているのを選んだよ
祈りは実るからね」
ぼそっと主人は言った
わたしの嗚咽のほうが大きすぎて
わたしは、子供のように
声を出して泣いた
ありがたい
一体、どんな顔して
彼はこれを買ったのだろう・・
そんなことできる人ではないのに。。
花がハロウィンテイストなのが
少々気になるが・・笑
今年は、きっと、年末まで入院だね
うん、そうだね
始めて、パパは一人でXmasを迎えるんだね
そうかもね
ごめんね
正月は家にいようね
お正月の話すると鬼が笑うよ
笑ってもらおうよ
うん
号泣
