あの台風の日の翌々日の月曜日

ダンナが産業医から勧められた

新しい精神科に私はいた


いつもずっとダンナと一緒に

診察室に入っていた私

いざとなると緊張する


今までの先生はいつも

一辺倒な質問しかしなかった


ダンナにはそれなり話をするものの

長くて10分程度

そして薬の増減も

患者の意向で決まる




新しい病院

まずカウンセラーとの話し合い

これは1番最初に精神科に行った時と同じ


1時間程話した後、診察室に入った



新しい先生

穏やかながらも

何かを探るように目の奥が鋭い


柔らかい口調だか

何か言葉が刺さる

そして答えにつまる


でも的を得ているはわかる


ダンナの話は流れ上

話さないとならないので

端折りながら話した




どうしたいですか?


少し柔らかい表情で先生が聞いた


今の生活がいつまで続くのか

何よりも不満だし将来が不安

ダンナは多分もううつではない

だから向き合って欲しい



先生は言った


ダンナさんは放っておきなさい


ダンナさんに言いたい事があるなら

ちゃんと言いましょう


そして共依存は良くないので止めなさい


自立しましょう




スコーンと晴れた気がした


ほんの一瞬何かが見えた気がした




ダンナの付き合いとはいえ

いかに前の先生が

ダンナのみを見ていたか


言い換えれ私はそれだけ

単純な簡単な

患者だったのかもしれないけど




そして問題の日がきた


オレのうつが治らないのは

薬のせいだと言っていたダンナの診察の日


この日も土曜日

きっととっとと違う薬をもらって

雀荘に行きたいはずだった


初診はどうしても時間がかかる

それだけで既にダンナは不機嫌だった


カウンセラーとの話し合いで

ここへきた経緯を話し…


ダンナの場合は私の様に

毎日が苦である、身体が辛い

とかではないので淡々と終わった



診察室に入ると

私とは別の先生だった

(この病院は日替わりで先生が違う)


受付のときのテスト?の結果


60満点中19点

抗うつ状態です


なので薬は変えません



隣のダンナの怒りが伝わってくる



畳み掛けるように先生は続ける


うつもしくは抗うつ状態とは


1️⃣器質的なもの

いわゆるセロトニンの減少で

脳がちゃんと機能していない状態


この場合は食欲不振、不眠

何事も楽しめない等が主な症状



2️⃣性格的なもの

3️⃣周りの環境によるもの


1️⃣の場合は薬が有効

又、ある程度の心身の休養が必要


2️⃣3️⃣は薬は手助け的なもの



ご主人の場合は1️⃣ではなく

3️⃣も職場が理解し、動いてくれているので、

2️⃣になると思われます


このような理由から薬は効きません


ただ10数年飲み続けた薬を

すぐに止めるのは危険なので

しぱらくはこのまま飲み続けて下さい



納得したならサインして下さい


先生が読み上げたその紙に

不機嫌丸出しで殴り書きするダンナ




やっぱり思った通りだった




診察を終え私を駅に送る間

開口一番ダンナが言った



すんげー頭にきた!



言わなくてもとっくに

十分伝わっていた


そう言うだろうと思っていた




だからダンナに言った


アナタがそんなに怒るのは


1番言われたくない事を

言われたからだよ


緊急事態宣言下だから

徹マンは止めてもらっていたが


車を停めた時

ダンナの捨て台詞が飛んできた


今日、オレ徹マンするから