そんな簡単に手放せるんだね

私のこと



ど真ん中に放り投げたこの言葉は

ダンナの頑ななココロにも

届いたようだ



あれから少しダンナは変わった




私は今まで人の考えは

変えられないものだと思っていた


考え方感じ方はそれぞれだし

もう人生半分も生きてきた

そのクセもあるだろうし


ダンナのように

すべてを肯定しなければ

すべてを飲み込まなければ

生きて来れなかった人達は

特に




ダンナが私に気を使っているのが

すごくわかる



ここ数年なかった状況だ


仕事に行く


有給早退遅刻がかなり減った

なんなら月曜から金曜ちゃんと行く


いつもずっと寝ていたソファからも

1人で起きて先に寝室に行く

歯を磨く…


何より私がする事に

ありがとうと言う




このまま…

そう思いかけた頃


前より私とうつについて

普通のトーンで

話をするようになった頃





梅雨の初めだった



会社で産業医に呼ばれ話をしたらしい


何故何年も治らないのか

病院を変えてみてはどうか


そして別の病院に行き

ちゃんと検査してもらうよう言われたと


その話を私にした時ダンナは




オレのうつが治らないのは

薬のせいだ


と言った


ここで初めて何かのせいにしたのだが…



これも何かのきっかけになるかもと

病院を変える事に飛びついた





その週はちょうど通院のある週

台風で土砂降りの雨だった


ダンナは病院の後に行く予定の雀荘に

一刻も早く行く事で頭がいっぱい

それはいつもの事なのだが



診察室で先生と話した


先生はダンナの性格を考えての投薬を

してきたと

それだけは強めに言って


私の事はハナから気にしてないが

それは最初からそうだったけど


どうぞご自由にと言った感じだった



会計を待つ間

新しい病院に予約の電話をしていたのだが


ダンナは早くて翌土曜

そして私はダンナとは

別々の診察を希望したので

翌々日の月曜となった


そんなやり取りをしていて

思いのほか手間どってしまっていた


ダンナはいつもなら私任せの会計を

自らさっさと済ませ


処方箋を持って


私なら歩いて3分程度の薬局へ

雨の中自ら行って


駐車場で電話が終わらない私を待っていた



駐車場に戻った私が話し出すより先に



予約取れた?



今日予約が取れると思ったらしい


それよりも

なんとも能動的なこの一連の行動




そもそも感じてはいたけれど




うつ病の人間が

雀荘に行きたいが為に

こんなに颯爽と動けるのか


そもそも…


薬が合わないから治らないと

言ってたのは誰なんだ