シベリウスの3番かあ、聴きたいなあ、あれ?数日後?
慌ててチケットをゲット。3500円の席しかありませんでしたが我慢我慢。
子どもの学費とか考えると、あまりお金を使いたくないし。
久しぶりの芸術劇場。
人が多くて驚きました。
一曲目、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。
ソリストはヴェロニカ・エーベルレさん。
何しろ3階席なので何も見えないのですが、ふっくらとした不思議なドレスをお召しになっていました。
バリバリと弾くというより、特に弱音に注意して丁寧に演奏するという印象。
なので緊張度が高く、聞き終わって少し疲れました。
艶やかで明るい音で、余計なことはしない。
素直だなあとも。なので、すれっからしの私には、超絶技巧なんだけど、もう少しちょっと・・・・という印象も。
でもいい時間でした。
面白かったのがカデンツァがかなり特殊な演奏だったこと(作曲者がいて、イェルク・ヴィトマンさん)。
古典的な音楽に急に現代音楽が入り込んだみたいで聴きごたえがありました。
当時の聴衆はベートーヴェンを初めて聴いて時、「なんだこれは!」となったに違いない、その感覚を疑似的に今の時代に味あわせてくださっている、そんな風に思いました。
時々、エーベルレさんが足をばん!と踏むのですが、これはそういう楽譜の指示なのか、彼女の癖なのか不明です。
二曲目、これを聴きに来た!シべリウス3番。
とにかく美しい。それから暖かい。
うるさくならないし、小細工なし。
第一楽章は、あれー3番ってこんなに分厚い音になるんだーと新鮮は気持ちで聴きました。
とはいえ、繰り返しますがすれっからしな私には、派手さもなく細かな音の構造を見せるような演奏でもなく、「ふつー?」と思っていたのですが、第二楽章あたりから、神経質過ぎず柔らかな演奏に、ああ、これもいいかも・・・と思いなおしました。
感動したのは第三楽章。
ベートーヴェンの第九のような構造で、前楽章の主題を繰り返し、その後に音が混沌として、とうとう主題が姿を現す。
ここを、どーんとどうだ!とオーケストラを鳴らすのではなく、そっと差し出すように慎ましやかな、しかし力強い演奏から始め、徐々に音量(音圧)を高めていく。
主題が高らかに鳴り響いていた時、急に鼻がツンとして涙腺が崩壊しておりました。
いい演奏だったなあ。
ヨーン・ストルゴーズ指揮、ヴェロニカ・エーベルレ:ヴァイオリン 東京都交響楽団
第1028回 定期演奏会C 2025年10月5日 東京芸術劇場
