浜田先生は躁うつ病当事者の経済学者さん(アベノミクスのブレーン!)。
内田先生はアメリカで研修医から始めた(!)叩き上げ精神科医。
(死にたいと思っていても)誰かに救ってもらいたいとも願っているもの(p67 浜田先生)
強い衝動や悪い考えから抜け出した時の視覚化、イメージが大事(p69 内田先生)
「退屈はうつの最悪の敵」(p97 内田先生)
不眠では適度な集中がいい(音楽をきくなど p147 内田先生)
辛い時、誰かがいても「何ができるんだ、何も解決しないではないか」と浜田先生は思っていた。他方でそばで誰かに慰めてほしいという気持ちもあった。
しかし振り返ると、ただ一緒に泣いてくれた友達や無言で手を握ってくれた知人がありがたかったという。
(p167ー168)
病に遺伝的要素があっても、子供の優しい性格や愛くるしさなどもまた親から遺伝したもの。(p174 内田先生)
参考になったこと。
CBT:”肯定的に考えるためにものの見方を変える”というイメージは不正確。感情を一旦受け入れ(起きたこと自体は良いとも悪いとも言えないことが多い。それは、諦めでも、許容でも、感情を抑えることでもない=radical acceptance)、感情の裏にある考えを検討する。
結果、そう感じる必要はないと思うかもしれないし、感情を変えられるかもしれないし、その感情は当然と思うかもしれない。(p139-140、p275-276 内田先生)。
BZDについてのご意見。さすが現場の先生!(p58 内田先生)
DSM:当事者としての浜田先生も現場たたき上げの内田先生も、絶対的判断材料にならないとおっしゃる。
例:ADHDは2か所以上で多動とされるが、家ではおとなしい子、学校ではしっかりしないとと落ち着いている子もいる( p127-129)
参考になったこと(2)。
学者は2つ目標をもつべき。一つは査読論文を書く。もう一つは十年単位の時間をかけて追及する問題をもつ (p143 浜田先生)
日本だと先行研究を全部調べろ。
アメリカでは自分のイマジネーションを大事にして他人の研究を必要以上に読まないよう指導される。(p224 浜田先生)
ケインズの言葉(とされているもの):「状況が変わっている時に同じことをいう者は馬鹿だ」(p152 浜田先生)
なおあの成田祐輔氏の名前もちらっと出てくる。
ロバート・アクセルロッドの「つきあいの科学」が紹介されているがおもしろそう(p114)
内田舞・浜田宏一:うつを生きる 精神科医と患者の対話 文春新書、東京、2024