大事なこと
つまり愛着の問題ではない(そういう場合もあるが)。
本書に登場する方たちは、産前まで妊娠・子育てを肯定的に考えていた方が多い(p30,49,106)。
では何が問題か。
以下は私の造語。
家庭圧(女はこうあれ。男の子を産め)(p25,80,131-132,163)
社会圧(”母性信仰” 「お子さんはまだ?」 あるようで実は無い選択肢 p262-263)
社会の非協力(p31-32,83,90,127,215,221-222,247)
夫の非協力(手伝うが手に余るとパス。都合のいい時だけ相手をする p36,53,61,64,89,92,121,161,182,215)
キャリア中断(p107-114,133-138,168-169)
ショックだったのが病院・福祉圧(p38,57-58,158,161-162,190)
健診などで「お母さんがしっかりしないと」「お母さんがやらないと」と抽象的に説教される。
夫たちも言い分がある。
社会は男を働かせすぎ(p268 社会の非協力の男版)。
工夫
どうして欲しかったか。
「そのうち楽になる」でなく「手を抜いて寝な」(p98)
両方とも言っていた。前者は却って傷つけていたか・・・反省。
具体的解決策を一緒に探すこと(p167)
誰かと解決のためのリソースを探せば、仮に解決に辿り着かなくても一人より楽かもしれない。
どうすればいいか。
大事なこと。
出産への負の感情(が 略)産後うつが原因ではなく(略)母親になりたくないという感情が理由(のこともある)(p87)
今、業界的に”産後うつブーム”で、個人的に違和感を抱いていたので共感するとともに肝に命じたい。
本書で知りたかったことの答え。
子どもたちを産んだこと自体は後悔していない(略)母親という役割を演じ続ける(ことが 略)つらい(p181)
本書に登場する方々は子どもを産みたくないのではない。
子育ての社会福祉医療支援が徹底的に不備不足で、それを母親根性論(もっとたちが悪いのは自己責任論)で糊塗されていることに抗議しているのである。
もう一つの「この国に生まれたるの不幸」。
高橋歩唯、依田真由美:母親になって後悔している、といえたなら 語りはじめた日本の女性たち 新潮社、東京、2024